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日本代表 6年前

中島翔哉は最も「ポリバレント」な選手だった。日本代表選外、西野監督の基準への違和感

text by 舩木渉 photo by Getty Images

サッカーを言語化する必要性。「日本化した日本のサッカー」とは?

西野朗
西野朗監督の選手選考基準は曖昧だった。明確な言語化ができていれば説明不足は避けられたかもしれないが…【写真:Getty Images】

 これまで何となく使われていた「ポリバレント」や「ユーティリティ」という言葉の意味は、「システム」や「フォーメーション」「ポジション」と「タスク」が別物であるという前提に立ちつつ、その意味を再検証しなければならない。

 現代サッカーの進歩は、細かく言語化されることで可視化されつつある。その中で「ポリバレント」という用語は「システム」や「フォーメーション」「ポジション」と「タスク」がそれぞれ別の意味を持つ前の時代に使われていたもの。今では使い方によって非常に危うい言葉になってしまった。

 ハリルホジッチ前監督には代表選手の明確な選考基準があった。例えば「公式戦で継続的にプレーしているか・していないか」「コンディションは万全か・そうでないか」「ゴールを決めているか・決めていないか」といったハッキリとした線引きがなされていた。リーグの格やレベルに左右されず、純粋なパフォーマンスの質が重視された。だからこそ納得感のあるメンバー選考になっていたことが多かったように思う。

 一方、西野監督による日本代表選手の選考には明確な基準が見えてこない。「ポリバレント」という言葉で何となく片付けられてしまっている印象すらある。「何でも器用にできる」というのは裏を返せば「突出した武器がない」「全てが一流ではない」などと捉えることもできる。それらは紙一重の差だ。

 ハリルホジッチ前監督は、中島にここぞの爆発力とゴールに絡める力を期待して抜てきした。しかし、西野監督の日本代表は「没個性」の集団になってはいないだろうか。「出る杭は打たれる」ということわざもあるが、もし「徹底的に個性を消して組織力にフォーカスすること」が「日本化した日本のサッカー」だとするならば、中島のような突出した武器を持つ将来性豊かなタレントをワールドカップという4年に一度の大舞台から排除したことが、日本サッカー界の未来に深刻な打撃を与えるかもしれない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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