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日本代表 6年前

酒井宏樹はネイマールにも負けなかった。マルセイユで築いた地位、日本代表最高ランクの実力者【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

恵まれた才能と最高のパートナーとの出会い

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ネイマールと渡り合って負けていなかった【写真:Getty Images】

 SBに必要な才能はスピードだ。速さは筋繊維の割合で決まるのでほぼ遺伝である。こればかりは後で足すのは難しく、その意味でSBは天性の才能の持ち主のためのポジションといえる。

 速い選手は小柄であることが多い。背の低さはSBとして不利ではない。ただ、逆サイドからのクロスボールを競り合うときだけは弱点になる。ストライカーはそこを狙ってSBとのマッチアップをわざと作ることもある。酒井は185cmの長身で体重も75kgとCB並みだ。実際、CBとしてもプレーしたことがあり、空中戦は強い。速くて上下動するスタミナがあり、そのうえ大きくてパワーもあるのだからフィジカル的にはパーフェクトだ。右足から繰り出すクロスボールは独特で、インサイドキックで押し出すように蹴る。正確で速く、横回転がかかっているのでストンと落ちる。迎撃しにくい球筋である。

 ただ、才能でプロにはなれても、そこから先は努力と運も必要になる。酒井にとって幸運だったのは柏レイソルでレアンドロ・ドミンゲスとコンビを組んだことだろう。Jリーグ史上でも最高クラスのライトインナーだったレアンドロ・ドミンゲスと近くで連係することで、いつ、どのようにプレーすべきかを学んだ。

 マルセイユではフロリアン・トバンと組んでいる。トバンは左利きでレアンドロ・ドミンゲスとタイプは違うが、こちらも名コンビになった。トバンはフランス代表に選ばれるまでに成長している。レアンドロ・ドミンゲスのおかげで代表入りした酒井は、マルセイユでトバンのフランス代表入りに一役買ったわけだ。

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