フットボールチャンネル

Jリーグ 5年前

槙野智章はW杯でも燃え尽きない。指揮官との約束から5ヶ月…天皇杯優勝への不退転の決意

text by 藤江直人 photo by Getty Images

名将のもと、勝負強さを身につけた浦和

 舞台は敵地カシマサッカースタジアム。キックオフ直後から鹿島に試合を支配され、劣勢を強いられる試合展開は、浦和の選手たちの脳裏に織り込み済みだった。耐えて、忍んで、セットプレーにかける。共有された思いは27分、右コーナーキックに完璧なタイミングで頭をヒットさせ、ゴールネットを揺らしたマウリシオの咆哮となって結実する。

 残された時間を全員が体を張り、泥臭く守り切った。後半アディショナルタイムには鈴木優磨が放ったシュートが浦和の選手に当たってコースを変え、無人のゴールに吸い込まれそうになる刹那で、宇賀神友弥が体勢を崩しながらかき出すスーパークリアも生まれた。

 決勝戦進出を告げる主審のホイッスルが鳴り響いた瞬間、ガッツポーズを敵地の夜空に何度も繰り出した槙野が胸を張る。

「リーグ戦では、守備陣が勝ち点を積み重ねるゲームがなかなか最後の方はなかった。攻撃陣に助けてもらう試合が多かったですけど、今日の試合に限っては宇賀神選手のスーパープレーもありましたし、その意味で守りの選手たちが流れを変えるとか、我慢強く戦うことで前の選手たちを助けることにつながった。悪い時間帯にしっかりと我慢できたことは、少し成長した部分かなと思っています」

 守備陣が痺れる1-0の完封勝利は、リーグ戦に限れば4月7日のベガルタ仙台戦までさかのぼらなければ見つからない。一方でノックアウト方式の天皇杯は、4回戦から3試合続けて零封勝ちをゲット。前人未踏のリーグ戦3連覇を達成するなど、鹿島に黄金時代をもたらしたオリヴェイラ監督のもとで、浦和は勝負強さを身にまといつつある。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top