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Jリーグ 5年前

槙野智章はW杯でも燃え尽きない。指揮官との約束から5ヶ月…天皇杯優勝への不退転の決意

text by 藤江直人 photo by Getty Images

奇しくも決勝はホーム。今季最後の試合を最高の準備で

槙野智章
槙野智章の天皇杯への思いは強い。もう一度アジアの舞台へ、9日の決勝に全てをかける【写真:Getty Images】

「FC東京戦ではちょっとクラクラしたんですけど。だいぶよくなりました」

 日本代表の一員として先発した11月20日のキルギス代表戦で、脳しんとうを起こして退場を余儀なくされた槙野は、同24日の湘南ベルマーレ戦を欠場。今月1日のFC東京とのJ1最終節で復帰するも、やや不安を抱えていたことも明かしている。それでも準決勝では肉弾戦を厭わず、むしろ進んで体を投げ出し、最後まで鹿島に対して脅威を放ち続けた。

「特に今日は押し込まれる時間が多かったんですけど、自分の気迫あふれるプレーやデュエルに勝る部分でスタジアムの雰囲気や、ピッチ上の雰囲気を自分たちの方へポジティブに持ってこられるか、ということを意識してやっていましたので。シーズンを通してそれは自分の得意とする部分というか、ストロングポイントだと思っていたので」

 この日は奇しくも、オリヴェイラ監督の68歳の誕生日だった。勝利というプレゼントを届け、試合後のロッカールームではFW興梠慎三がケーキを指揮官の顔面に見舞った。ホームの埼玉スタジアムで9日にキックオフされる、ベガルタ仙台との決勝戦へ槙野が決意を新たにする。

「決勝戦は前の選手たちが点を取って後ろがしっかり守るという、お互いが仕事をまっとうできれば。昨日の練習でも、ファンの方の『帰って来いよ。埼玉スタジアムで待っている』という声が僕たちにも届いていたので。今年のメンバーで戦うラストの試合なので、最後はみんなで笑って終えられるように、そして来季のアジアの舞台に帰れるように、最高の準備を積みたい」

 真夏に指揮官と約束を交わしてから5ヶ月。ここまで来たら、画竜点睛を欠くわけにはいかない。12大会ぶり、前身の三菱重工時代を含めて7度目となる日本一戴冠へ。槙野に、そして浦和レッズにとって最高の舞台が整った。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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