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Jリーグ 2年前

横浜F・マリノス、背番号2は「最高の試合をした」。如実に出た鹿島アントラーズとの差、J1王者を凌ぐレベルにあるのは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「誰が出てもマリノスのサッカーができる」



 均衡が破れたのは後半37分。永戸の左CKにアンデルソン・ロペスが飛び込み、打点の高いヘッドを豪快に決め、待望の先制点を手に入れる。ロペスのマークには関川郁万がついていたはずだったが、対応が遅れ、三竿健斗との間に入られる格好になった。そういうスキを突ける老獪さがロペス。残り10分を切ったところでの先制弾は鹿島に大きなダメージを与えた。

 その後もマリノスは攻撃の手を緩めず、後半44分にも左サイドから2点目を叩き出す。永戸と岩田が絡んだ崩しからエウベルの浮き球のクロスを決めたのは西村だった。

「あまり動きすぎず、しっかりと敵とスペースを見ることができて、エウベルがいいボールをくれたんでよかったです」と背番号30は満面の笑みをのぞかせた。こうやって決めるべき人が決められる時のマリノスはやはり強い。

 後半ロスタイムにも3点目が生まれる。エウベルからレオ・セアラとつなぎ、マイナスのクロスに宮市亮が飛び込んだと思った瞬間、三竿の懸命のクリアがオウンゴールになってしまった。途中出場の面々が絡んで奪ったダメ押し点に宮市も「誰が出てもマリノスのサッカーができる」と目を輝かせた。

 ここまでのリーグ10試合を幅広い戦力とともにターンオーバーしながら戦ってきたマリノスと、固定メンバー中心に8戦を消化してきた鹿島との差が如実に出た格好となった。この総合力と選手層は首位・川崎をしのぐレベルにあると言っても過言ではないはずだ。

 こうしてマリノスは3-0で勝利。因縁のカシマスタジアムで10年ぶりの白星を挙げることに成功した。その原動力となったのは、後半から活性化された左サイドの面々だろう。とりわけ古巣対決の永戸は「このチームに加わってから最高の試合をした」とマスカット監督から絶賛されるパフォーマンスを披露。直接的なアシストは1つだったが、2・3点目にも絡んでおり、リスタートのキックを含めて攻撃力の高さを色濃く示したのは間違いない。

 試合後、永戸はこう振り返る。

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