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Jリーグ 2年前

浦和レッズACL決勝進出でも岩尾憲は「納得できていない」。34歳のMFが「ピッチ上の監督」と呼ばれる“ゆえん”【この男、Jリーグにあり】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

浦和レッズでの再出発。「19」に込めた思い



 日本体育大から当時J2だった湘南ベルマーレに加入した2011シーズン。最初にもらった背番号が「19」だったと明かした岩尾は、こんな言葉を紡いでいる。

「34歳になるキャリアで、これだけ大きなクラブが自分に対して期待してくれている。大卒のときの初心に帰るというか、そういったものにも感謝しつつ、いままでも謙虚に、ひたむきに、コツコツとやってきたつもりですけど、いま一度、自分をしっかりと見つめ直して再出発しようという決意から『19』にさせていただきました」

 プロになって12年目を迎え、4月には34歳になった自分を、岩尾は「ノンキャリアの選手」と位置づける。年代別を含めて日本代表に招集された経験はない。浦和の一員になった今年1月の時点で、J1リーグ戦における出場試合数も「44」だった。

 そのうち37試合を、昨シーズンの徳島で経験している。湘南でポジションを奪えず、水戸ホーリーホックへの期限付き移籍をへて、J2を戦っていた徳島へ加入したのが2016シーズン。翌年に岩尾のサッカー人生を変える出会いが待っていた。

 徳島が初めて招へいした外国人指揮官、スペイン出身のリカルド・ロドリゲス監督のもとで岩尾はキャプテンに指名された。以降、J2戦線を制してJ1昇格を決める2020シーズンまでの4年間で、驚異的といっていい数字が残されている。

 徳島が戦ったリーグ戦とJ1参入プレーオフの計171試合で、岩尾は166試合に出場。プレー時間の合計1万4715分は、フル出場した場合の実に95.6%を占める。指揮官とキャプテンとの間に生まれた、絶対的な信頼関係が反映されていた。

 だからこそ、ロドリゲス監督が浦和を率いた昨シーズン。5シーズン続けて徳島のキャプテンを担いながら、浦和に対して特別な思いを抱いていたと岩尾は打ち明ける。

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