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Jリーグ 2年前

浦和レッズACL決勝進出でも岩尾憲は「納得できていない」。34歳のMFが「ピッチ上の監督」と呼ばれる“ゆえん”【この男、Jリーグにあり】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」のバランス


【写真:Getty Images】



「4年という時間を過ごさせていただいたなかで、実を言うと少し寂しいというか、悔しい思いがあって、しっかりと浦和のゲームを見られませんでした」

 迎えた今シーズン。阿部勇樹が引退し、金子大毅が京都サンガF.C.へ期限付き移籍して層が薄くなったボランチの補強は急務だった。完全移籍ではなく期限付き移籍になった経緯には言葉を濁した浦和の西野努テクニカルダイレクターは、候補選手の名前が記されたリストからロドリゲス監督が要望したのが岩尾だったと明かしている。

 そのロドリゲス監督は「私が選手に求める、すべてを持っている選手」と岩尾を称賛する。攻守を司るボランチとしてのプレーだけでなく、自身の戦術に対する理解度の高さ、ピッチの内外で発揮されるキャプテンシーを指していた。

 2017シーズンの徳島でロドリゲス監督のもとでともにプレーし、今シーズンの浦和で再びチームメイトになったDF馬渡和彰は、岩尾を「ピッチ上の監督」と呼ぶ。しかし、指揮官の懐刀という立場は、岩尾にとって少なからずプレッシャーにもなった。

 実際、新体制発表会見時の質疑応答で岩尾はこんな言葉も残していた。

「一日一日の練習にコンセプトや意味を常に持たせている監督だし、そういったところをよくわかっているからこそ、いい形で還元できればと思っています。ただ、選手それぞれに特長や得意とするプレーがあるなかで、やらなければいけないことと自分がやりたいことをしっかりと区別して、その時々に適切なことをできないと、やりたいことだけが先行してしまうと、どうしても戦術の浸透というものは遅くなってしまう」

「とはいえ、やらなければいけないことだけをやっていると自分の個性が消えてしまう。これには表裏一体、表と裏があると思うので、そういった部分をいい形でバランスを取りながら、自分が言及した方がいいところは言及して、見守った方がいいところは見守るといった形で、注意深く様子を見ながらアプローチしていきたい」

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