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Jリーグ 2年前

浦和レッズACL決勝進出でも岩尾憲は「納得できていない」。34歳のMFが「ピッチ上の監督」と呼ばれる“ゆえん”【この男、Jリーグにあり】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

浦和レッズで「研ぎ澄まされる感覚」


【写真:Getty Images】



 ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)とのラウンド16から、わずか中2日で迎えたパトゥム・ユナイテッドとの準々決勝を終えた時点で、2試合、計180分間にフル出場した浦和のフィールドプレーヤーは3人だけとなっていた。

 そのうち2人は両センターバック、岩波拓也とアレクサンダー・ショルツだった。中盤より前では岩尾だけという状況に、さすがにこんな質問が飛んだ。疲れが溜まっているのではないか、と。相槌を打ち、苦笑しながら岩尾はこう語っている。

「疲れてないことはないですけど、歴史の深いこのクラブで、この立場でピッチに立ち続けるのは簡単なことじゃない。自分の代わりは世の中にいくらでもいると思っているし、それは日本人選手もそうだし、もしかしたら新しく外国人選手を獲ってくることも可能なクラブだと思っている。そういった意味でもピッチに立ち続けてプレーできているのは、疲労感よりも幸せなことだなと思っています」

 コーナーキックのキッカーも託される岩尾は、パトゥム・ユナイテッド戦の42分に岩波の追加点もアシストしている。試合後に「正直、キックも精神的なところがある」と充実感が精度に反映されていると語った岩尾はさらにこう続けた。

「たとえば疲労やどこかの痛みが理由で自分がピッチから退き、代わりに入った誰かが結果を出せば、当然、自分の椅子はなくなる。そういった危機感とも戦っている部分があるので、その意味でもピッチに立ち、結果を出し続けることに僕自身、非常に研ぎ澄まされているというか、コミットできている感覚がある。なので、これからも引き続き勝つことじゃなくて、勝ち続けることを自分のテーマに置いて進んでいきたい」

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