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Jリーグ 1年前

京都サンガは「アカデミー出身の選手がチームを勝たせる」。個性を育てる曺貴裁監督とアカデミーの連携【育成主義4】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

「試合で使ってもらうために練習するのは違う」

 今シーズンのトップチームには、アカデミー出身のプロ選手が8人在籍している。

 その一人でSAP対象選手もある24歳のDF麻田将吾は、昨シーズンのリーグ戦で32試合に出場。2792分を数えたプレー時間は、ゴールキーパーも含めた全選手のなかで最長だった。

 身長186cm体重80kgとサイズがあり、左利きでもあるセンターバックはいまや最終ラインに欠かせない。しかし、曺監督が就任する前の2020シーズンは出場8試合、プレー時間は443分だった。

「将吾だけでなくみんなに言えることかもしれないけど、試合に出るために、あるいは試合で使ってもらうために練習するのは違うと僕は思っています。やはり試合に勝つために、自分が試合に出て勝たせるために練習しないと本物になっていかない。2020シーズンの練習ぶりは実際に見ていないけど、将吾はそういう部分が練習中から決定的に足りなかったんじゃないかと思っています。もちろん自分のなかで咀嚼して取り組んできたからこそ試合に出場し続けて、チームも勝っていったところもある。いまはそんな言葉を言わなくても、将吾本人はわかっていますけどね」

 同じくアカデミー出身で、新キャプテンの川﨑颯太と同期でもあるMF山田楓喜は最初の2シーズンを終えて、天皇杯の1試合に出場しただけだった。迎えた昨年3月2日。サガン鳥栖とのルヴァンカップ・グループステージ第2戦で初ゴールをゲット。チームも2-1で勝利している。

 試合後の記者会見で、曺監督は「大人のサッカーへ向かうスイッチが入った」と山田の変化を歓迎した。実際、その後のリーグ戦でも山田は14試合に出場して2ゴールをあげている。

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