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京都サンガは「アカデミー出身の選手がチームを勝たせる」。個性を育てる曺貴裁監督とアカデミーの連携【育成主義4】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

山田楓喜の成長「アカデミー出身の選手たちが、チームを勝たせるんだ」



「自分が点を取るとか取らないかとか、ドリブルで抜けるか抜けないかぐらいの興味しか抱いていなかった選手がチームに対して少し目を向けることで、持っている力が生かされるという一例だったと思っています。ただ、そのなかでも個性は絶対軽視してはいけないし、監督の求めるものだけをやっていて上手くなった選手は実際に一人もいない。なので、自分で考えるという部分も含めて、昨シーズンの自信をベースにしながらもっと、もっと伸びていってほしいですよね」

 川﨑によれば、曺監督は就任以来、何度も同じ言葉をかけてきたという。曰く「お前たちアカデミー出身の選手たちが、チームを勝たせるんだ」と。その成果を川﨑は こう語ったことがある。ジュビロ磐田に次ぐ2位を確定させ、12年ぶりのJ1昇格を決めた直後のひとコマだった。

「自然とそういう気持ちになれた部分は、確かにありましたね」

 苦しみながらJ1残留を果たし、FWパトリック(前ガンバ大阪)らを補強して臨む新シーズンも京都の大原則は変わらない。曺監督は「アカデミー出身だから、という理由で使っているわけではないんですけど」と、苦笑しながら生え抜きの選手たちの台頭を歓迎する。特別扱いはない。それでもアカデミー出身組が中心となって、すべてはチームの勝利のために、という合言葉が実践されていく。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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