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「自分のことだけ考えればいい」京都サンガ曺貴裁監督が21歳MFを主将にした理由「負担はかけない。でも…」【育成主義1】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

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遠藤航、山根視来、満田誠…。指導者キャリアをスタートさせた川崎フロンターレのアカデミー時代を含め、曺貴裁監督の下で飛躍のきっかけを掴んだ選手は枚挙にいとまがない。現在指揮を執る京都サンガF.C.ではどのようなアプローチで選手と向き合っているのか。全4回の短期連載の第1回では、アカデミー出身の川﨑颯太を今季のキャプテンに指名した経緯を訊いた。(取材・文:藤江直人)


21歳のMF川﨑颯太が京都サンガF.C.のキャプテンに


【写真:Getty Images】

 指名された本人にとっても、文字通りの青天の霹靂だった。2022年が押し詰まっていたある日。京都サンガF.C.を率いる曺貴裁監督は、アンカーを主戦場に28試合に出場するなど、昨シーズンの主軸を務めた選手のなかで最年少となる21歳のMF川﨑颯太と話し合いの場を持った。

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「来年はお前に任せようと思っている」

 曺監督が託したのは2023シーズンのキャプテンだった。12年ぶりのJ1昇格を勝ち取った2021シーズン、そしてJ1参入プレーオフを経て残留を果たした昨シーズンと、27歳のMF松田天馬が担ってきた大役を引き継いでほしいと言われた川﨑は、当然のように答えに窮した。

「ちょっと忘れてしまいましたけど、確か『びっくりしています』と言っていましたね」

 苦笑しながら川﨑の反応を振り返った曺監督は、もちろん答えを急がせなかった。自分のなかで結論が出たら返事をしてほしいと声をかけて別れたものの、年が明けて三が日を終えても連絡が来ない。たまらず指揮官の方から電話を入れた。1月4日か5日だったと記憶している。

「何も言って来ないけど、どうなのと聞いたら『はい、やらせていただきます』と」

 京都の新体制は1月8日に発表され、川﨑のキャプテン就任は驚きを持って受け止められた。京都史上で最年少というだけではない。2023シーズンを戦う18のJ1クラブのなかでも、アカデミーからトップチームに昇格して4年目を迎える21歳は最年少のキャプテンだったからだ。

 それでも曺監督は言う。「年齢とか何年目とかは、あまり考えなかったですね」と。

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