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Jリーグ 1年前

「自分のことだけ考えればいい」京都サンガ曺貴裁監督が21歳MFを主将にした理由「負担はかけない。でも…」【育成主義1】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

曺貴裁監督が主将に求める素養



「キャプテンを見たときに『あっ、こういうチームなんだ』とわかるのが大事だと考えてきたので、その意味でコーチングスタッフを含めて、誰にも相談せずに決めました。僕に任せてほしい、と。颯太に関しては、発言そのものはまだまだ子どもっぽいところもありますけど、昨シーズンにチームが勝てなかったときの悔しそうな顔や姿を見てきて、J1の舞台で戦っていく、という覚悟がより大きくなったと感じていました。その颯太をキャプテンにした方がチームとして向上していけるし、チームを背負う責任を与えることで、颯太自身のプレーの幅も広がっていく。チームの成長と颯太の成長の両方を考えたときに、今シーズンに関しては颯太にやらせるのが一番いいと判断しました」

 山梨県甲府市出身の川﨑は、小、中学校時代はヴァンフォーレ甲府のアカデミーでプレーしている。しかし、高校進学を控えた段階で慣れ親しんだ地元ではなく、たとえ親元から離れてでもハイレベルかつ厳しい環境で、さらに文武両道で勝負がかけられる環境を希望した。

 そして、複数の候補の中ですべての条件を満たしていたのが、練習場に加えて『RYOUMA』と命名された選手寮を完備。原則として全員が進学校の立命館宇治高へ通うなかで入学金や授業料、寮費が全額負担される京都の「スカラーアスリートプロジェクト(SAP)」だった。

 2006年にスタートしたSAPの上限は1学年につき10人。過去にはFW久保裕也(現FCシンシナティ)やFW奥川雅也(現アルミニア・ビーレフェルト)が心技体を磨き、京都を経て世界へ羽ばたいていった独自のプロジェクトの門を、川﨑は2017年春に叩いている。

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