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Jリーグ 1年前

「自分のことだけ考えればいい」京都サンガ曺貴裁監督が21歳MFを主将にした理由「負担はかけない。でも…」【育成主義1】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

「京都サンガF.C.にとって一番大事なこと」

【写真:Getty Images】



 SAPを含めた京都のアカデミーの存在を、曺監督は湘南ベルマーレの監督時代から知っていた。

「アカデミーの優秀な選手たちを含めて、非常に素晴らしい育成の環境を持っている。だからこそ、僕自身の生まれ故郷にあるチームの指揮を執るにあたって、トップチームだけじゃなくて育成全体を活気づけなければいけない、と思っていたところもありました。颯太が高校進学時に甲府からアカデミーに来たのも知っていましたし、トップチームに上がってからのプレーも何回か見ていたなかで、彼のような選手がチームの軸になっていくのが京都にとって一番大事なことだと思っていました」

 こう振り返った曺監督は、ルーキーイヤーだった2020シーズンの川﨑を、ややネガティブな視線で見ていた。この年の川﨑は出場16試合、プレー時間は955分を数えていた。

「僕が来る前は周りに気を使って、安全なプレーを選択する場合が多いなと思って見ていました。だからこそ2年が経って、自分がキャプテンマークを巻く姿は想像していなかったと思います」

 京都の監督に就任してから、川﨑にはある選手の話を繰り返してきた。湘南時代の愛弟子で、シュツットガルトでプレーするいまではブンデスリーガのデュエルキングとして君臨。日本代表でも必要不可欠な存在となり、先のカタールワールドカップでも活躍した遠藤航のキャリアだった。

「厳密に言えばプレーヤーとしてのタイプはちょっと違うし、性格もまったく違いますけど、それでも颯太がベンチマークするのは航だと思っているので」

 ベンチマークとは「指標」や「基準」を意味する。曺監督はさらにこう続けた。

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