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Jリーグ 1年前

佐野海舟が鹿島アントラーズにもたらす中盤の分厚さ。誰しも目指すサッカー日本代表へ【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「油断か隙が…」岩政大樹監督の反省



 後半も鹿島は固い守備で主導権を握っていたが、知念と樋口が下がった後半23分あたりから徐々に運動量と強度が低下し始める。百戦錬磨の鬼木達監督は勝負どころを見逃さず、後半34分に3枚替えに踏み切る。ルーキー・山田新ら攻撃の駒を複数投入したことで、川崎の反撃体制が一気に加速すると見られた。

 だが、直後に山村和也が仲間隼斗の決定的機会を阻止して一発退場。これで数的優位に立った鹿島は「これで勝てる」と確信したはず。岩政大樹監督がラスト5分でキャプテンマークを巻く鈴木優磨を下げたのも、ある程度の計算があってのことではないか。

 けれども、サッカーというのは一筋縄ではいかないもの。ここから逆に川崎のギアが上がる。終了間際の44分にリスタートの流れから家長昭博のバイシクルが飛び出し、右から飛び込んだ山田が右足を合わせてゴール。ギリギリのところで1-1に追いついた。

 ガックリした鹿島とは対照的に、川崎は「行ける」と感じたのだろう。長い後半アディショナルタイムの間にさらに攻め込み、瀬古樹のシュートを荒木遼太郎がゴールギリギリのところで防いだシーンがハンドの判定となり、川﨑にPKが与えられた。

 キッカーは家長。彼のコロコロシュートはいったんはGK早川友基の正面に飛び、万事休すかと思われたが、キッカーが蹴る前に早川が前に出たためやり直しに。2度目となれば、さすがの名手は決めてくる。最終的に川崎が逆転に成功し、1-2でタイムアップの笛。またしても敗れる結果となった鹿島の面々は呆然とするしかなかった。

「そんなに甘いものではなかった。今日勝てれば大きな自信のもとで今シーズンを進めていけただろうが、それが目の前にチラついて、油断か隙が生まれたのかもしれない」と岩政監督も反省していた。

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