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Jリーグ 1年前

香川真司の「準備は整った」。未勝利のセレッソ大阪に何をもたらす?4680日ぶり先発へ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

昨年11月に受けた「手術」の影響は…



「発表前の数日、4年間色々なことがあったなと改めて振り返る時間がありました。なかなか思い通りに行かなくても自分なりの信念を貫いて戦えた事又はそれをどんな時もサポートしてくれた自分に近い人達に感謝したい」(原文ママ)

 ここでひとつの疑問が頭をもたげてくる。ワールドカップ開催に伴う中断期間があるとはいえ、シーズンの真っ只中に手術を受けたのはなぜなのか。2月のJリーグ開幕を見すえて、前年11月に手術を受ければ十分に完治する――という仮説を香川は加入会見で否定している。

「手術に関しては、セレッソに入る前提で、とは考えていませんでした。ただ単に足首の故障で決断したわけで、日本でリハビリをして、ベルギーへ戻ったなかで今回の決断に至った次第です」

 左足首の影響からか。今シーズンのシントトロイデンでの軌跡を振り返れば、移籍後初ゴールを決めるなど順調なスタートを切った序盤戦から一転、昨年9月以降は次第に出場機会が激減。後半38分から途中出場した、同10月29日のウェステルロー戦が最後のプレーとなっていた。

 しかし、手術を受けたという事実が、ゲーム勘が著しく失われているという現実が、2月7日に合流した香川の起用法に関して小菊監督を慎重にさせた。さらにセレッソは1月8日にすでに始動し、タイ及び宮崎県内でのキャンプを経て今シーズンを戦う骨格ができあがっていた。

 新戦力の補強に関しても然り。J1リーグで実績を持つFWレオ・セアラ、MFジョルディ・クルークスに加えて、ブラジル人アタッカーのカピシャーバも獲得した1月8日の始動時に、梶野智チーム統括部長は補強を次のように総括した。

「狙っていた選手は全員獲得できたと思っています」

 開幕へ臨戦態勢に入っていたチームに、実績やネームバリューがあるから、ましてや自身をプロの世界へスカウトしてくれた恩師が監督を務めているからという理由で、急きょ加入した選手に居場所が用意されるはずがない。プロの世界の掟を噛みしめるように、香川はこんな決意を明かしている。

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