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Jリーグ 1年前

サガン鳥栖は「ただ走るサッカー」になっていないか? J1上位の共通点とは【Jの十字架】

シリーズ:Jの十字架 text by 庄司悟

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明治安田生命Jリーグの2023シーズンが開幕し、2か月が経過した。躍進するチームもあれば低迷するチームもあり、それぞれに原因と理由がある。連載「Jの十字架」では“異端のアナリスト”庄司悟が「十字架」を用いて各クラブのスタイルを暴いていく。(文:庄司悟)



J1リーグ上位陣の共通点とは?


【図1:2022年J1の「Jの十字架」(縦軸=シュート1本にかかった平均パス本数×横軸=ボール支配率)】

 図1は縦軸をシュート1本にかかった平均パス本数、横軸をボール支配率の平均値を組み合わせた2022年J1の十字架だ。横浜F・マリノス(1位)と川崎フロンターレ(2位)がともに右下のゾーンにいることがわかる。つまり、昨シーズンはシュート1本にかかった平均パス本数が多く、ボール支配率が高い両チームがいずれも結果を残した、というわけだ。

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【図2:2023年J1第8節までの「Jの十字架」(縦軸=シュート1本にかかった平均パス本数×横軸=ボール支配率)】

 ところが、2023年J1第8節までの十字架(図2)を見てもらえばわかるように、大きな変化が起きている。上位3チーム(ヴィッセル神戸、名古屋グランパス、サンフレッチェ広島)いずれも、シュート1本にかかった平均パス本数が少なく、ボール支配率が低い左上のゾーンにいるのだ。注目すべきは神戸の変化で、昨年の右下から今年は左上に大移動している。神戸が効率良くシュートへ結びつけるコンセプトへ舵を切ったのは明らかであろう。2022年のFIFAワールドカップカタールを境に、見事なまでに「修正→再構築→継続」が施されたといえる。

 シュート1本にかかった平均パス本数だけにフォーカスしても、第8節終了時点の上位チームは1試合平均10~20本台前半で、下位チームは30~40本台ときれいに2分されている。下位チームで気になる数字を出しているのはサガン鳥栖(14位)である。走行距離は1位、スプリント数は6位とトップクラスでありながら、シュート1本にかかった平均パス本数は2022年から15本増え、リーグトップの1試合平均54本となっている。ちなみに第5節の神戸戦(0対1)では147本(シュート3本)、第7節の広島戦(0対1)では114本(シュート3本)であった。

 2023年J1のトレンドが、シュートを効率良く打つために、「走るサッカー」から「走れるサッカー」に変わったとするならば、シュートまでの効率が悪い鳥栖はただ走るサッカーになっているのではないか。鳥栖の構想と現象のちぐはぐさが、現在の順位を表しているような気がしてならない。

(文:庄司悟)

庄司悟(しょうじ・さとる)

1952年1月20日生まれ、東京都出身。1974年の西ドイツ・ワールドカップを現地で観戦し1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのデータ配信会社『IMPIRE』(現『Sportec Solutions』。ブンデスリーガの公式データ、VARを担当)と提携し、ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSをもとに分析活動を開始。著書に『サッカーは「システム」では勝てない データがもたらす新戦略時代』(ベスト新書)、『現代フットボールの主旋律 ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す』(カンゼン)。

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