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Jリーグ 12か月前

「本気で頑張ってみようかな」浦和レッズ興梠慎三、36歳の変化と悔恨の念。ACL決勝で背負った重責と感謝【コラム】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

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 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝2ndレグ、浦和レッズ対アル・ヒラルが6日に行われ、1-0で勝利した浦和が3度目のアジア王者に輝いた。決勝2試合に先発し、1stレグで貴重なゴールを決めた興梠慎三は、いつもとは違う様々な感情を背負ってこの2試合に臨んでいた。(取材・文:藤江直人)


4年前のリベンジへ「一度も忘れたことはない」


【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】

 悔恨と感謝。相反するふたつの思いを胸中に抱きながら、メインの一部を除いてスタンドが真っ赤に染まった埼玉スタジアムのピッチへ、興梠慎三は足を踏み入れていった。

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 興梠にとってのACLは、2019年11月24日を最後に長く途切れたままだった。5万8109人の大観衆で膨れ上がった埼玉スタジアムで行われた決勝の2ndレグで、今回と同じアル・ヒラルに0-2で完敗。2戦合計スコアでも0-3と後塵を拝し、準優勝に終わった悔恨の念を、7月に37歳になるベテランストライカーは「4年がたっても、一度も忘れたことはない」と振り返る。

「あのときも埼玉スタジアムに来てくれたサポーターたちの分まで、というのと、あとは今日の会場にいた槙野(智章)も阿部(勇樹)ちゃんたちも2019年に悔しい思いをしている。仲間たちのためにもリベンジをしたいとずっと思ってきた。この日を待っていた」

 個人としても1st、2ndレグとともに先発フル出場しながらゴールに絡めなかった。しかし、続く2020、2021シーズンと浦和はACLの舞台にすら立てなかった。

 リベンジの機会を得られないまま、2021シーズン後に槙野智章はヴィッセル神戸へ、宇賀神友弥はFC岐阜へそれぞれ移籍。ACLを初めて制した2007年大会を知る阿部勇樹も現役を引退した。

 リカルド・ロドリゲス前監督が就任した2021シーズンは興梠も怪我で出遅れ、20試合に出場するもプレー時間は482分と、2020シーズンの1957分から激減した。ゴール数もわずか「1」にとどまり、J1記録を更新していた連続2桁得点記録も9シーズンで途絶えた。

 迎えたオフに出場機会を求めて、恩師と慕ってきた浦和の元指揮官、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督に率いられる北海道コンサドーレ札幌への期限付き移籍を決めた。契約上では「期限付き移籍」となるが、おそらくは片道切符になると興梠自身も覚悟を決めていた。

「僕のわがままで札幌へ行かせていただきましたし、簡単には戻ってこられないとわかっていた。だからこそ、こんな僕を戻してくれた浦和レッズ関係者のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです」

 1年での復帰が決まった今シーズン。1月の新体制発表会見で、興梠は何度も「感謝」の二文字を口にしている。そして、感謝の思いを捧げる対象は浦和の強化部だけにとどまらなかった。

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