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Jリーグ 8か月前

「99.9%」井手口陽介だからこそできる要求。「不格好でも勝つ」アビスパ福岡の象徴【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

衝撃から6年。井手口陽介の現在地

アビスパ福岡MF井手口陽介
【写真:Getty Images】



 日本中に衝撃を与えてから6年あまり。8月で27歳になり、若手から中堅の域に達した井手口はFC東京戦で、オーストラリア戦をほうふつとさせるミドルシュートを放っている。それも2度も。

 最初は19分。佐藤がMF松木玖生と競り合いながら必死にキープし、後方に落としたボールに反応した井手口がペナルティーエリアの外から右足を振り抜く。ゴールの枠をとらえた一撃はしかし、やや威力に欠けてしまい、FC東京のGK野澤大志ブランドンにキャッチされた。

 次は26分。FC東京のクリアが中途半端になった直後に、再びペナルティーエリアの外で反応。強烈な一撃を見舞ったが、クロスバーのわずか上を超えていった。ミドルシュートのシチュエーションはよかったのでは、と問われた井手口は「その通りですね」と特に2発目に手応えをつかんでいる。

「ただ、ゴールの枠には入っていないので。もっと強いシュートを決められるようにしたい」

 日本の中盤に君臨すると期待された井手口は、ワールドカップイヤーの2018年1月にイングランド・チャンピオンシップのリーズ・ユナイテッドへ完全移籍。労働ビザの発行基準を満たしていなかった関係で期限付き移籍した、ラ・リーガ2部のクルトゥラル・レオネサで新たな挑戦を始めた。

 しかし、リーグ戦の出場がわずか5試合にとどまってしまう。試合から遠ざかった影響もあって代表でも精彩を欠き、西野朗監督のもとで臨んだロシアワールドカップのメンバーから外れた。

 復帰したリーズでも実質的な構想外になり、再び期限付き移籍したブンデスリーガ2部のグロイター・フュルトも買い取りオプションを行使せずに退団。2019年8月にガンバへ復帰した井手口は、同年のベネズエラ代表との国際親善試合やEAFF E-1サッカー選手権で代表復帰を果たした。

 しかし、2019年12月の韓国代表戦が通算15試合目にして、現時点で最後の代表戦となっている。

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