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Jリーグ 8か月前

「特別な気持ち」香川真司と柴崎岳の数奇な運命。2人に共通する「僕が帰ってきた意味」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

香川真司に抱く「他の選手とは違う気持ち」

セレッソ大阪のゲームキャプテンを務める香川真司
【写真:Getty Images】



「自分たちがまず守ること。ただ、それだけでは守り切れない。しっかりとカウンターを打って、保持できればしっかりとボールを動かす。そこもしっかりやってくれた」

 選手交代で先に動いたのはセレッソ。62分に渡邉りょう、北野颯太とFW陣を投入する。数的優位に立つ上に、前線の枚数も増えた状況でボランチ香川がタクトを振るう場面が増えた。

 69分に香川が浮き球のパスを右サイドの奥深くへ通す。反応したのは初招集された日本代表のヨーロッパ遠征で爪痕を残した右サイドバックの毎熊晟矢。ワンタッチでゴール前へ折り返されたパスに渡邉が反応するも、ノーマークで放たれた右足ボレーはクロスバーの上を通過した。

 直後に岩政監督が最初の交代カードとして柴崎を投入する。おそらくフラッシュインタビューで言及した「カウンター」と「ボール保持」を託したのだろう。しかし、セレッソの猛攻は止まらない。

 迎えた74分。再びビッグチャンスを演出したのも香川だった。ペナルティーエリア内へ攻め上がった左サイドバック舩木翔へ絶妙の浮き球パスを配球。ファーサイドへ折り返された舩木のクロスをFWレオ・セアラが頭で合わせるも、シュートは無情にも右ポストの外側を通過した。

 このシーンを境に、香川がボールを持てば決まって柴崎が対面に来るようになった。今シーズンの途中からボランチに定着。かつてヨーロッパを席巻し、日本代表でも一時代を築いたトップ下とは異なる新境地を開いている香川との間合いを詰め、パスコースを封じる対抗策に打って出た。

 ちょっとでも隙を見せれば、チャンスに結びつくパスを通される。脅威となっていた「8番」の一挙手一投足を注視しながら、香川に抱いてきた「他の選手とは違う気持ち」を柴崎は蘇らせていた。

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