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Jリーグ 6か月前

響いた声。湘南ベルマーレは緊急事態をどう乗り越えたのか。監督の覚悟と主将の心中【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

理想的な前半と首位ヴィッセル神戸の反撃



 今シーズン2度目の3連勝をマークするとともに首位の座をしっかりと固め、悲願のリーグ戦初優勝へ近づいていた神戸をホームに迎えた28日の明治安田生命J1リーグ第31節。開始11分に先制したのは、キックオフ前の時点で17位とJ1残留争いを強いられていた湘南だった。

 ハーフウェイライン付近でこぼれ球を拾ったDF杉岡大暉が、左サイドを猛然とドリブルで駆け上がる。そして、神戸のペナルティーエリアが見えてきたあたりで、前方にいたFW阿部浩之へパス。DF酒井高徳のスライディングタックルをかわした阿部が、中央へ絶妙のクロスを折り返した。

 あうんの呼吸で抜け出し、右足のワンタッチでボールをとらえたのはFW大橋祐紀。今シーズン2度目の3試合連続ゴールを達成し、得点ランキング8位タイの11ゴールに伸ばした27歳が感謝する。

「阿部くんが本当にいい形で出してくれたので、自分は当てるだけでした。今日は特にそうですけど、チームが最後のところで自分が決められる形を作ってくれるので、チームによる得点だと思っています」

 3シーズンぶりの3連勝へ向けて、湘南も理想的なゲーム運びを見せる。堅守速攻を掲げる神戸の攻撃は、手数をかけずにロングボールを最前線の大迫へ預け、そこを起点にタレントがそろう攻撃陣が多彩な攻撃を仕掛ける。そのなかで大迫からの2次攻撃を、湘南の選手たちが体を張って遮断し続けた。

 34分には富居のビッグセーブが飛び出す。左サイドから武藤が放ったクロスに、直近の3試合で3ゴールと波に乗るMF佐々木大樹が完璧なタイミングで頭をヒットさせる。同点弾と思われた一撃に。富居が体勢を崩しながら必死に反応し、最後は右手一本でコーナーキックに逃れた。

 しかし、神戸が圧力を強めてきた後半開始早々に一瞬の隙を見せてしまう。右サイドから酒井が放ったファーサイドへのクロス。走り込む佐々木をマークしてきたDF岡本拓也の左手に、ワンバウンドしたボールが当たってしまった。ハンドで与えた53分のPKを、岡本が無念そうに振り返る。

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