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Jリーグ 3か月前

「シンプルだけど難しい」鹿島アントラーズを変えるポポヴィッチ監督の“要求”。柴崎岳の穴を埋めるのは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie

鈴木優磨によるポポヴィッチ流の解釈

鹿島アントラーズFW鈴木優磨
【写真:藤江直人】



「そのテンポで90分間を通して、というのはなかなかできない。その意味で(柴崎)岳くんが抜けた後のゲームコントロールという部分では、ちょっと課題を残したと思う。岳くんがいなくなってからは、僕がちょっと中盤に落ちる形でゲームをコントロールしなきゃいけなくなった。それもちょっと難しい部分で、岳くんがいる間はなるべく僕もゴール前の仕事に専念したい、という思いがあるので」

 ポポヴィッチ流のハイテンポな攻撃に、絶妙の間をもたらす役割が柴崎に託された。鈴木が言及した「ポポさんがやりたいサッカーと、自分たちの特徴を出していくかのバランス」がこれであり、柴崎を欠いてからは昨シーズンまでに何度も見られた、鈴木が攻撃のすべてを背負う悪循環だった。

 鈴木自身は「日本に帰ってきてから、キャンプでは一番コンディションがいい。いつもこの時期はまったく点が取れないし、体もめちゃ重くて全然走れなかったのに」と大きな手応えをつかんでいた。言葉通りに1月30日の徳島ヴォルティスとのトレーニングマッチでは先制ゴールも決めた。

 しかし、好事魔多し、と言うべきか。徳島戦の前半終了間際にゴール前で競り合った鈴木は相手選手の頭部で顔面を強打。右頬骨の骨折で1日に手術を受け、治療期間約5週間の診断を受けた。

 今シーズンの新体制が発表された1月21日の時点で、鹿島の新加入選手はGK梶川裕嗣、GK山田大樹、ルーキーのDF濃野公人、そしてブラジル出身の左利きのサイドアタッカー、ギリェルメ・パレジの4人にとどまっていた。

 J1リーグ戦で優勝したヴィッセル神戸から勝ち点で19ポイントも離された5位にとどまり、総得点43が5位タイだった昨シーズンから特に攻撃面で上積みがない陣容から、復活を期す柴崎だけでなく、キャリアハイでチーム最多となる14ゴールをあげた鈴木までが離脱した。

 チーム作りを進めている過程での相次ぐアクシデント。それでもポポヴィッチ監督は、努めてポジティブだった。柴崎が交代し、試合中に病院へ検査に向かった宮崎戦後にはこう語っている。

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