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Jリーグ 3か月前

「シンプルだけど難しい」鹿島アントラーズを変えるポポヴィッチ監督の“要求”。柴崎岳の穴を埋めるのは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie

早くも表れた変化「私は必ずタイトルを獲得するとみなさんに約束するようなタイプではない。ただ…」



 昨シーズンに鈴木に次ぐ5ゴールをあげたFW知念慶が、徳島戦ではボランチの適正を試された。また、昨秋にインドネシアで開催されたFIFA U-17ワールドカップでU-17日本代表に名を連ねた186cmの長身FWで、2種登録されている高校2年生の徳田誉がキャンプ中のトレーニングマッチでゴールを連発した。

 ホームの県立カシマサッカースタジアムに、水戸ホーリーホックを迎える10日のプレシーズンマッチでも柴崎と鈴木の出場は難しい。それでも右サイドバックではルーキーの農野が存在感を放ち、スロバキアのクラブから1月下旬に加入したFWアレクサンダル・チャヴリッチもデビューする予定だ。

 カタールW杯でDF長友佑都によって流行語になったイタリア語の感嘆詞「ブラボー!」を、ポポヴィッチ監督は多いときには1分間に数十回も連呼する。素晴らしいプレーに対してだけでなく、積極的にトライした上でのミスも「ブラボー!」の対象になり、チームの士気は否が応でも高まる。

 モットーに「笑顔で練習に来て、何があっても笑顔でピッチを後にしよう」と掲げるなど、鹿島をメンタル面から変えている指揮官は、常勝軍団復活を託される新シーズンへの抱負をこう語る。

「このクラブに来たからには、求められているもの、果たさなければいけないものはわかっている。それでも、私は必ずタイトルを獲得するとみなさんに約束するようなタイプではない。ただ、常に全力で日々を過ごしていくその先にタイトルがある、という考え方だけははっきり言っておきたい」

 少しずつ、そして確実にチーム力を底上げしていった先に、胸中にチームへの深く、熱い思いを脈打たせるキャプテンとエースストライカーが満を持して復帰すれば――現状では期待と不安、光明と誤算が交錯しているポポヴィッチ体制の鹿島が、まばゆい輝きを放つ可能性は決してゼロではない。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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