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Jリーグ 2か月前

「僕がもっと…」ヴィッセル神戸の逆転勝利を呼び込む宮代大聖の献身。MF起用で担う新たなタスクとは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

ヴィッセル神戸らしい反撃が始まる



「大事なのは失点後の戦い方。去年も失点してから早い時間で追いつくことが結構あった。それをやろうと思った」と山口も話したが、チーム全員が共通意識を持っていたからこそ、7分後に同点弾を奪うことができたのだ。

 それを引き寄せたのも宮代だった。自陣で山口が頭で競り、宮代がいったん大迫に預け、タメを作ったのを見計らって、宮代はリターンを受け、一目散にドリブルで前線へ。そして今度は武藤に預け、そこから左の広瀬にボールが渡った。この瞬間、宮代はファーへ回り込み、クロスが上がってきたところで打点の高いヘッドをお見舞い。実に神戸らしいスピーディーな攻めから鋭い一撃をゴールに突き刺したのだ。

 これで勢いを取り戻した彼らは一気に畳みかける。60分には広瀬の思い切った左からのシュートが相手に当たって右ポストに当たる。さらに70分には2点目につながる決定的なシーンを作り出す。

 GK前川黛也のロングキックを大迫が受け、広瀬に流した瞬間、宮代が一気に裏のスペースへ走り込む。落下地点の目測を誤ったエンリケ・トレヴィザンがエリアの少し外側で宮代を倒してしまった。DOGSO(決定的な得点機会の阻止)による一発退場を食らうことになったのである。

 数的優位に立った神戸としては、PKとはならなかったものの、絶好の位置でのFKを獲得。これを蹴ったのが、大迫だった。昨季の川崎戦でも直接FK弾を決めているエースは自信を持って右足を振り抜き、値千金の決勝ゴールを叩き出すことに成功。PK失敗の借りを見事に返したのだ。

 この逆転劇でFC東京を2-1で倒した神戸は勝ち点3をゲット。上位戦線に踏み止まった。それと同時に宮代ら新戦力が躍動。チームに新たな活力が生まれたと言える。

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