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Jリーグ 2か月前

「昨年まではできなかった」京都サンガの目指すサッカー。川崎フロンターレに勝利で表出した狙い【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

一致した選手と監督の感覚「守り切ったという感覚はない」



「選手たちは守り切ったというより、もう1点取りに行っていたと思います。全体のラインもそんなに深くなかったし、守ろうという意識はそこまで強くなかった。守りというより、相手の戦術的な狙いをしっかり配置で跳ね返して、次のカウンターにつなげていく。(川﨑)颯太や金子(大毅)を中心にやれていたので、守り切ったという感覚は僕にはないです」

 川﨑も監督と同じ意見だった。

「最初の2試合は開始早々に失点していたので、自分たちが15分で(主導権を)握りたいという意味では前から行くことを意識しましたし、セカンドボールの後の反応は良かったと思います」と22歳の選手は語った。

「相手にボールを持たせてしまう時間もあったが、集中力を切らさずによく守った。守っている中でも、(原)大智君たちが常にカウンターを狙っていて、自分たちも守るだけじゃなく前に出る準備はできていた、非常に集中した90分だったと思います」

「昨年は2試合とも試合終了間際に失点して勝利を逃したり、負けてしまった。同じようにはしないという気持ちは大きかった」

 GK上福元直人から始まる素早くキレのあるパスワークでプレーしたいというフロンターレの意欲は、確かに京都のエネルギッシュでフィジカルな前線に十分な刺激を与えた。原は191cmの体格を活かして駆け回り、フロンターレの流れを壊そうとした。一方では、豊川雄太の熱意と絶え間ない走りは、J1ディフェンダーにとってボール保持、非保持にかかわらず悪夢でしかない。私には彼はいつも、公園で兄と一緒にサッカーに興じてちょっと張り切りすぎた友人の弟のように見える。

 両チームにも本当に素晴らしいミッドフィールダーが何人かいて、川崎の脇坂泰斗、瀬古樹、山本悠樹の先発トリオと京都の金子、松田天馬、そして特に川﨑は全員が卓越した能力を見せ、狭いスペースでもそれを恐れることはなかった。0.5秒ほどの時間があれば、適切なパスコースを見つけたり、より危険な位置にボールを運んだりしていた。

 京都のCB、アピアタウィア久は、「引いてしまうと相手のリズムになることは分かっていた」と話し、この試合へのアプローチについて語った。

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