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Jリーグ 2か月前

「他にあまりいない」東京ヴェルディ、山田楓喜が抱く左足への絶対的な自信。U-23日本代表でも貴重な“匠の技”【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「これが俺やぞ」



「まずはあの位置でFKを与えないことが重要だと思う。あとは最後のところで、自分がしっかりとステップを踏んで、ボールに対してパワーを持ってダイブしていけばよかったんですけど」

 小島の述懐を聞けば、対峙するゴールキーパーにステップを踏ませないだけの、予想を上回るスピードを伴った軌道だったのが伝わってくる。直後からネット上を騒然させた山田は、横浜F・マリノスを国立競技場に迎えた2月25日の開幕戦でも直接FKから鮮やかな先制ゴールを決めている。

 Jリーグが産声をあげた1993シーズンの開幕カードが、国立競技場で時空を超えて再現された一戦の開始わずか7分。16年ぶりにJ1へ挑む東京Vの初ゴールは、まったく異なる位置から放たれた。

 ペナルティーエリア右角のわずか外側。距離にして約17m。マリノスが作った3枚の壁をものともせずにゴール右隅の一番上、最短距離を射抜く強烈な一撃を突き刺した山田は試合後にこう語っている。

「あのあたりは自分のエリアなので、どの場面でもあの距離ならば決める自信はありました」

 試合自体は1-2で逆転負けを喫した。それでも強烈な爪痕を残した山田は、後にクラブの公式YouTubeチャンネルで配信された「THE GOAL REVIE」に登場。そのなかで「自分のプレーを見たことがない人がほとんどやったと思うので」と断りを入れながら、関西弁をまじえてこんな言葉を残している。

「これが俺やぞ、というのを見せられたと思う」

 年齢が上の見木へかけた「立っといて」という言葉も然り。直接FKに対して抱く、不敵なまでの自信の源泉はいったい何なのか。新潟戦後の取材エリア。参考にしているキッカーの存在を問われた山田は、不断の努力を介して左足に宿らせてきた、オリジナルの「匠の技」だと強調している。

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