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Jリーグ 2か月前

「他にあまりいない」東京ヴェルディ、山田楓喜が抱く左足への絶対的な自信。U-23日本代表でも貴重な“匠の技”【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「自分のような左足を持っている選手は、他にあまりいない」

U-23日本代表の山田楓喜
【写真:Getty Images】



 森保ジャパンを含めて、獲得した直接FKをゴールに変えるキッカーが不在となって久しい。日本サッカー界全体を見渡しても、2022シーズン限りで引退した中村俊輔、今シーズンが始まる直前にスパイクを脱いだ遠藤保仁を最後に、試合の流れを変えられるキッカーの系譜が途絶えかけている。

 だからこそ、開幕からわずか4戦で直接FKを2度も、ともに美しく、なおかつ鮮やかな弾道からゴールに変えた山田の左足が必然的に異彩を放ってくる。直接FKを操るレフティーとして、真っ先に思い浮かぶ俊輔へ存在を問われた山田は「参考にはしていない」と断りを入れながら、こう続けている。

「(自分の)目に入ってくるくらい(直接FK)を決めているし、もう何回も映像で見ましたけど、それ(俊輔)を超えられるような左足になっていけたら、と思っています」

 U-23代表は来月15日から中東カタールで、今夏のパリ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC・U-23アジアカップに臨む。国際Aマッチデー期間外でヨーロッパ組を思うように招集できず、厳しい戦いが不可避とされる状況で、一発で劣勢をひっくり返せる山田の左足は代表戦でも貴重な武器になる。

「自分のような左足を持っている選手は、他にあまりいないと思う。さらに同じ左利きのなかでも、自分はまた違った左利きやと思っているので、それをどんどん出していけたらと思っています」

 U-23代表における自身の存在をこう語った山田は、また違った左利き、という意味にこう言及した。

「言葉で上手く表現できないというか……まあ見たらわかるでしょう、くらいの感じですね」

 直接FKの名手へ名乗りをあげただけではない。新潟戦では78分にベンチへ下がりながら、チームトップのスプリント回数17をマークした。身長181cm体重73kgとサイズに恵まれた体にスタミナ、そして戦う姿勢も搭載するレフティーは、本人が胸を張ったように現在進行形で周囲と一線を画しつつある。

(取材・文:藤江直人)

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