なぜ激怒されたのか。ロングボールが持つリスクを整理する
それは、ひとつはカウンターの危険があること、もうひとつはまったく効果的なサイドチェンジではなかったことでした。つまり闇雲にその左足キックの精度、きれいな球筋を見せたところでゲームの状況は変わりません。むしろ孤立している逆サイドの選手にボールが渡り、数的不利になります。
日本で時折、逆サイドにきれいなサイドチェンジのボールが渡ると歓声が沸きます。しかし、注意して見ると状況は変わらず、バックパスをしてまたビルドアップからやり直す。日本では意味のないサイドチェンジを目にする機会は多いように思います。渡独前の私のように、それをよしとする傾向さえあります。
サイドチェンジがなされる場合、基本的にはその後に一気にゴールに向かいます。ちなみに長いダイアゴナルパスはそのキックミスから、またはパスカットされ、相手のカウンターを受ける危険があり、またその対空時間からボール非保持時のチームにスライドされ、状況を好転させることは容易ではありません。あっさりとボールサイドのサイド攻撃を捨て、逆サイドに展開するべきではないでしょう。
相手も比較的ボールサイドにコンパクトになっていることが考えられますが、ボールを保持している以上、数的同数ならばイニシアチブは取れます。さらにボールロストしたとしてもゲーゲンプレスをかけやすい状態です。
時間的経過の観点からだけではなく、ボールサイドの攻撃は重要視されるべきです。中央攻撃、サイド攻撃については次回以降に具体例を後述します。
(文:河岸貴)
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