「言われていることだけをやっていたら強くならない」
松村は68分に退き、その後はベンチから戦況を見守ったが、鹿島はタテに蹴り出すばかりで攻めの形が見えてこない。鈴木優磨も「今日のラスト20分間はオニさんが監督になってから最もムダな時間だった。全部をつなげってわけじゃないけど、何人かの選手が考えを共有できるのがオニさんの求めるサッカーだと思うし、言われていることだけをやっていたら強くならない」と苦言を呈し、1-2の敗戦を重く受け止めていた。
松村も「ロングボールが多くなった要因が『もう失点したくない』っていう感情なのか、『もっと裏から入ろう』っていう感情なのか分からないけど、僕自身含めですけど、もう少し足元で受ける外し方だったり、立ち位置を工夫しながら、受ける場面も、落ち着かせる場面があってもいいかなとは感じました。
前半戦も苦しい時期があってから連勝した。今回、1回中断入りますけど、また練習から意見を出し合ってやっていきたいなと思います」と自ら流れを変えるべくアクションを起こしていく構えだ。彼のような中堅世代がもっともっとリーダーシップを発揮していけば、鹿島の停滞感も払拭できるかもしれない。ここからが本当の勝負なのだ。
J1は東アジアE-1サッカー選手権2025(韓国)のため、2週間空くが、20日の次戦は首位に立った柏との直接対決。そこで負けるようなことがあれば、本当にタイトル獲得が困難になりかねない。
昨季はここから失速してしまったが、チームとしてその教訓を生かすしかない。松村には強靭なメンタルを前面に押し出し、攻守両面で流れを変えてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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