
元サッカー日本代表で、現在は東京学芸大学で監督を務める岩政大樹【写真:三桂】
史上初めて3か国(アメリカ、カナダ、メキシコ)による共催で行われ、出場チーム数も48チームに増加。総試合数は104試合に上り、過去最大規模の大会となったFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)。40日間にわたる大会は、スペイン代表がアルゼンチン代表を破り、2度目の世界一に輝き、閉幕した。本サイトで大会期間中に特別解説を務めた2010年南アフリカW杯メンバーの岩政大樹氏に、北中米W杯のベストイレブンを選出してもらった。[10/12ページ]
FW:キリアン・エムバペ(フランス代表)

フランス代表のキリアン・エムバペ【写真:Getty Images】
生年月日:1998年12月20日(27歳)
所属クラブ:レアル・マドリード(スペイン)
北中米W杯成績:8試合10得点4アシスト
【「速さ」ではなく「タイミング」】
今大会最多となる10ゴールを挙げ、史上初の2大会連続での得点王に輝いたキリアン・エムバペも、岩政氏が迷うことなくベストイレブンに選んだ一人だった。
岩政氏は、27歳となったエムバペについて「若い選手」という枠を超え、新たなステージへ進み始めたと評価する。
「若いと言われる年齢を少し通り越してきて、成熟は少しずつしてきてるなというところを大会を通して感じさせました。メンタリティもそうだし、プレーヤーとしても動き出しのタイミングが素晴らしい」
圧倒的なスピードが最大の武器として知られる一方で、岩政氏はその”速さ”だけがエムバペの本質ではないと語る。
「スピード自体は若い頃より爆発的じゃなくなっている気もしますけど、それでも十分速い。でも、それ以上に動き出しのタイミングと抜け出すタイミングが完璧なんです。
速さを活かすタイミング、自分のタイミングを知っていること。抜け出すタイミング、動き出すタイミング、シュートを打つタイミング。そのタイミングが彼のスピードを活かしているポイントだと思います」
【伝説への階段を登る27歳】
今大会のエムバペは、プレーだけでなく精神面でも成長を感じさせたという。
「少しメンタルも安定してプレーしているように見えたし、チームを鼓舞する姿勢も見られた感じがしました。その辺は精神的にも少しずつ落ち着いて、成熟してきているように見えました」
27歳にしてW杯通算22ゴールを記録し、歴代最多得点記録を更新したのは圧巻の一言だ。しかも、それをわずか3大会の出場で成し遂げたという事実も驚異的である。
もっとも、岩政氏は個人の記録だけでは”伝説”にはなれないとも指摘する。
「ゴール数だけで言ったら、もうすでに歴史に残る選手ですけど、伝説に残るためには、やっぱり自分が中心になってチームを勝たせること。軸となって優勝させることで、本当の伝説になっていくんだと思います」
27歳にしてすでに歴史的な数字を積み重ねてきたエムバペ。それでも岩政氏の目には、世界最高のストライカーは、まだ完成形とは映っていない。精神的な成熟を遂げた先に、本当の意味で”伝説”と呼ばれる未来が待っている。