
元サッカー日本代表で、現在は東京学芸大学で監督を務める岩政大樹【写真:三桂】
史上初めて3か国(アメリカ、カナダ、メキシコ)による共催で行われ、出場チーム数も48チームに増加。総試合数は104試合に上り、過去最大規模の大会となったFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)。40日間にわたる大会は、スペイン代表がアルゼンチン代表を破り、2度目の世界一に輝き、閉幕した。本サイトで大会期間中に特別解説を務めた2010年南アフリカW杯メンバーの岩政大樹氏に、北中米W杯のベストイレブンを選出してもらった。[9/12ページ]
FW:リオネル・メッシ(アルゼンチン代表)

アルゼンチン代表のリオネル・メッシ【写真:Getty Images】
生年月日:1987年6月24日(39歳)
所属クラブ:インテル・マイアミ(アメリカ合衆国)
北中米W杯成績:8試合8得点4アシスト
【39歳で世界の常識を変えた】
FW陣は、岩政氏にとって迷いのない選出だった。
「ここはもう、あんまり僕が語ることは必要なくて、メッシ、エンバペ、ハーランドですね」
そう即答すると、「他にも当然いるんですけど、並べたらもうこれに勝てないでしょっていう感じ」と、この3人が別格だったと語った。
その中でも、特に衝撃を受けたのが39歳で自身6度目のW杯を迎え、8得点4アシストを記録したリオネル・メッシだった。
「39歳であそこまでできるんだっていうのが、たくさんの人のマインドセットを変えたと思います。みんな技術だ何だって言うけど、単純に39歳であそこまで動けるということは、相当努力しているはずなんです」
岩政氏自身も35歳で現役を退き、指導者の道へ進んだ一人だからこそ、その姿には特別な意味を感じたという。
「僕も30歳くらいのときにメッシを見ていたら、39でW杯であそこまでやれるって思えたら、僕は35歳のとき怪我もなかったので、もっと自分のマインドをちゃんと変えることができていれば、『もっと長くできたのかもしれないな』と思ったり、一瞬ですけど、する気なかったんでいいんですけど(笑)」
【本当の凄さは「ボールを持つ前」にある】
岩政氏は、メッシの価値は華麗なドリブルやゴールだけではないと強調する。
「みんなオン・ザ・ボールの素晴らしさを見ると思うんですけど、メッシは動き出しも素晴らしい。ボールを持ったところが目立つ選手って、絶対に来る前の動きが素晴らしいんですよ」
むやみに走り回るのではなく、必要な瞬間に最適な場所へ立つ。その卓越したポジショニングこそが、39歳になっても世界最高峰で結果を残し続けられる理由だという。
「どのタイミングでどこにいればいいかが、自分の中ではっきりわかっているから、動き続ける必要がないんです。最後の瞬間にそこへいる。その理由を、みんなに学んでほしいなと。
『シュートがうまいな』とか、『最後によく決めたな』だけじゃなくて、ボールを持つ前にどこへ立っているのか。そのヒントが必ずあるので、指導者としては選手たちにはそこを感じ取ってほしいなって」
39歳になっても世界最高峰の舞台で輝き続けたメッシ。ゴールという結果だけでなく、サッカーの本質を体現するプレーで、岩政氏にとっても改めて学びの多い存在となった。