元日本代表・前田遼一と組んだ2トップ
自分が生まれる前からプロの舞台に立っている大ベテランが、いつも近くにいる。2日に江東区夢の島競技場で行われたJ3第4節。FC東京U‐23の15歳、久保建英はJ1で歴代4位タイとなる152ゴールをあげている元日本代表、35歳の前田遼一と2トップを組んで先発した。
年齢差は実に20歳。2001年6月4日に久保が産声をあげたとき、東京・暁星高校からジュビロ磐田に加入して2年目だった前田はすでにJ1でデビューしていた。鹿児島ユナイテッド戦のキックオフが間近に迫ったピッチ。ゲームキャプテンを務めるDF吉本一謙が、円陣を組む直前に久保に耳打ちした。
「足元だけでボールを受けないように。(前田)遼一さんとどちらかが、詰まったときには前に行って」
前田と28歳の吉本だけではない。ゴールキーパーには27歳の大久保択生、そしてボランチには「10番」を背負う31歳の梶山陽平が、23歳以下の若い選手たちとともにピッチに立った。
昨シーズンからU‐23チームをJ3に参戦させているFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪は、フィールドプレーヤー3人とゴールキーパー1人のオーバーエイジを起用することができる。
もっとも、FC東京は原則としてオーバーエイジ枠は行使せず、トップチームの若手だけでメンバーを編成できない場合は、2種登録されたFC東京U‐18所属の選手たちを積極的に起用してきた。
しかし、高校が春休み中とあって、U‐18チームがドイツに遠征していた。そこでトップチームで出場機会の少ない4人をオーバーエイジとして起用し、ほぼぶっつけ本番でホープたちと融合させた。
結果として、鹿児島戦で先発した11人のなかで、2種登録選手はU‐20日本代表のドイツ遠征から帰国したばかりの久保だけとなった。すでに今シーズンのJ3で2試合にフル出場している逸材は、これまでとは異なる雰囲気を肌で感じ取っていた。
「いつもプレーしている人たちとは、やはり違った選手たちなので。五分五分のボールでも前田選手は普通にもっていくので、すごく馬力がありました」