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Jリーグ 7年前

久保建英、加速する成長速度。FC東京U-23出場のベテラン選手が語る、15歳FWの現在地

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「建英のところにボールが入って前を向いて攻撃がはじまる」

 百戦錬磨の経験をもつ前田の巧みなボールキープから、久保がペナルティーエリア内のひだりサイドへ抜け出し、利き足の左足を振り抜いたのが前半43分。わずか3分後の同アディショナルタイムには、梶山がヒールで落としたボールに、ペナルティーエリアの右外から迷うことなくミドル弾を放った。

 ともにゴールの枠をとらえられず、特に前者を放った直後はピッチを左手で叩いて悔しさを露にした。昨シーズンから通算して5度目となるJ3の舞台。過去のどの試合よりもボールに絡み、積極的にシュートまでもっていった久保自身が、期待される初ゴールへの手応えを感じていた。

「J3であまり結果を残せていなかったというのもありますし、前半のはじめからけっこう押し込んでいて、何回もチャンスがあったということもあって、途中から『今日はチャンスじゃないかな』と感じていた部分はありました」

 4試合で2ゴール2アシストをマークした、U‐20日本代表のドイツ遠征から帰国したのが3月29日。オフをはさんだ同31日には、久保はトップチームの練習に参加している。もっとも、トップチームがサガン鳥栖とのJ1第5節を翌日に控えていたこともあって、全面的な合流とはならなかった。

 それでもキックオフ前に要求した通りに、すぐに前田とのコンビネーションを構築しはじめた姿が、最終ラインでチームを統率した吉本には頼もしく映った。

「遼一さんが体を張って、そのこぼれ球を(久保)建英がしっかり拾ってチャンスにするなど、2人の息がすごく合っていた。僕は今日初めて一緒にプレーしましたけど、建英のところにボールが入って前を向いて攻撃がはじまる、という感じにもなっていたし、まだ15歳ながらこのチームには本当に必要な選手なんだと思いました」

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