今年度からは高校生に。結果を貪欲に求めるプロの表情
前田とともにフル出場した久保が放ったシュートは、両チームを通じて最多となる4本。後半39分には小林からのパスを受けると、ペナルティーエリア内の右サイドへ猛然とドリブルで侵入。利き足とは逆の右足で強烈なシュートを見舞ったものの、相手に当たってコースを変えた弾道はサイドネットに阻まれた。
J3のカテゴリーながら、Jリーグでは最年少となるゴールが生まれたのか、とスタジアムを一時騒然とさせたシーンには、2つの「計算」が働いていた。
「その前に一度、味方からパスが来て中へ入っていったときに自分でシュートを打とうか迷って、結局は打たずに横へパスを出したらちょっと流れてしまった、というシーンがあったので。次にいいスペースがあったら自分でいこうと思っていたので、迷わずいけたことはよかったのかなと。
あの場面では小林選手からいいパスが来て、相手に一度体をぶつけてから中へ入っていきましたけど。結果的に何本もシュートを打って、決められなかったのは不甲斐ないし…悔しいです」
同じように悔しがるならば、あえて積極果敢にトライする。成長途上のフィジカルを指摘されることが少なくない状況で、相手が与えてくるプレッシャーを逆手にとって、あえて体をぶつけることで前へ加速していく推進力に変える。瞬時に遂行した計算も、結果が出なければ意味がないと唇をかむ。
「球際(の攻防)でも逃げないようにしているので、成長しているんじゃないかなと自分では思っていますけど。もう何試合もやらせてもらっているので、そろそろ周りにすがっているだけではダメだなと自分でも思っています。この前のU‐20代表の遠征でもけっこういいプレーができていたので、これからもどんどん自分のプレーを出していきたい」
今週末からはU‐18が参戦しているプレミアリーグEASTも開幕するが、J3と重複した場合は、久保を含めた10人の2種登録選手は原則として後者を主戦場としていく。今年度からは高校生になるホープは、ときに結果を貪欲に求めるプロの表情ものぞかせながら、心技体の成長スピードを加速させていく。
(取材・文:藤江直人)
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