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ザンビアに逆転勝利もW杯へ残る大きな不安。立ち上がり悪いザックジャパン、試合序盤で失点多い理由

text by 植田路生 photo by Getty Images

なぜ立ち上がりが悪いのか?

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大久保嘉人のパフォーマンスは好材料【写真:Getty Images】

 要因はザックジャパンのスタイルにある。岡田ジャパンのときのように守備的なスタイルであれば、それは起きない。“自分たちの時間帯”が必要ないからだ。試合の流れは常に相手にある(相手に渡すと言った方が適切か)。

 ところが、今の代表はそれとは逆のスタイル。ボールを保持し、パスワークで崩すことで得点を奪う。そのため、相手がどのように守るのか、どこでパスカットを狙っているか、さらに自分のマークする選手がどんな特徴があるか、などを把握する必要がある。

 それらが不明だと、自分たちがボールを回す距離感や適切なパススピード、ドリブルを仕掛けるタイミング、マークの外し方などが分からないからだ。つまり、どのように攻撃をしなければならないか、“さぐり”の時間が必須だ。

 その時間が長くなればなるほど、日本にとって難しい試合になる。ザンビア戦は30分過ぎあたりからリズムを掴めたような印象だが、コートジボワール相手だともう少し時間がかかる可能性がある。

 同じパスを主体(またはポゼッションスタイル)とするチームでもスペインのように圧倒的な力があれば、相手を比較的無視しても、自分たちのリズムで常に試合ができるが、日本はまだそこまでの技術はない。

 これはポゼッションをしたいチームにとっての宿命とも言える。ザッケローニ監督はある程度メンバーを固定することで組織力を高め、この課題に取り組んできたが、最後まで解消されることはなかった。W杯でもこの問題は出てくるだろう。要するに、ザックジャパンにとって失点は織り込み済み。複数点を奪うしかいないのである。

 ただし、繰り返しになるが、この課題は今に始まったことではない。ザンビア戦で唐突に出てきたことではないため、早急にどうにかしなければならないという類のものではない。

 幸いにも攻撃陣は得点をとるイメージは十分にある。大久保のパフォーマンスも好材料だ。希望と不安の両方を抱えてザックジャパンはブラジルへ向かう。希望の光が不安よりも大きくなれば、結果は出る。逆もしかり。

【了】

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