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パワープレーそのものが問題ではない――。ザック采配2つの疑問。不可解な遠藤先発落ちと交代枠余り

日本が引き分けてしまったギリシャ戦。ザッケローニ監督はコートジボワール戦と同じく長谷部と山口のボランチを送り出した。得点が欲しい試合で遠藤をベンチスタートにしたのはなぜなのか? 交代枠を使いきらなかったことへも疑問がある。

text by 西部謙司 photo by Getty Images

遠藤が先発でなかった疑問

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なぜボランチに山口と長谷部のコンビを先発で起用したのか【写真:Getty Images】

 どちらも勝ち点3がほしい試合。前半に中心選手のカツラニスを退場で失ったのはギリシャにとって大きなダメージだった。ただ、日本にとってもやりにくい状況になってしまったかもしれない。

 ギリシャは守備を固めと非常に厄介な相手である。半面、攻撃に出てきてくれればカウンターから得点するチャンスが増える。緒戦を0-3で落としたギリシャは勝利が必要だから、ある程度はリスクを冒しても攻撃してくるはずだった。

 ところが、10人になったことで守るしかなくなった。ギリシャにとって勝利は遠のいたわけだが、日本にとっても難しい状況になった。

 ボランチに山口と長谷部のコンビを先発で起用したのは疑問だ。ギリシャが10人になる前から、日本は圧倒的にボールを支配できていた。ギリシャに何本もパスをつなぐ能力はないし、そのつもりもない。

 一方、前からプレスしても日本から簡単にボールは奪えない。日本のポゼッションが高くなるのは明白だった。どうやって崩し、点をとるかが第一のテーマとなる展開で、そのキーマンである遠藤を45分間限定にした理由がよくわからない。

 仮に遠藤のスタミナに不安があったとしても、先制してしまえば大勢が決まる試合なのだ。リードした後、遠藤を長谷部に代えて逃げ切りをはかるか、リードできないまま遠藤の動きが落ちた場合は青山と交代させればいい。後半にギリシャが疲れたところでたたみかける作戦だったのかもしれないが、前半から勝負をかけてもよかったと思う。

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