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日本代表 8年前

リオ五輪予選を経た植田直通の変化。「強い相手とやりたい」。更なる強敵を欲する飢餓感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

自信により開花した潜在能力

 カタールの地に刻んだ確固たる実績が拠りどころとなったのだろう。小学生時代に二刀流で挑んだテコンドー仕込みの強靭なフィジカルを含めて、186cm、77kgの身体のなかでくすぶっていた潜在能力が一気に解放され、熊本・大津高校3年時に10チームが獲得に動いた逸材を輝かせている。

 迎えたJ1での戦い。2歳年上の昌子源とセンターバックコンビを組んだ植田は、現時点で全5試合に先発フル出場。完封勝利が3試合を数えるなど、リーグ最少の2失点に封じる堅守の立役者となっている。

 昨シーズンのセカンドステージを振り返れば、植田はわずか2試合、151分間の出場にとどまっている。ライバルの元韓国代表・ファン・ソッコの負傷離脱もあるが、植田が自らの力で奪い取ったと言っていいだろう。

 実際、シーズン開幕を前に、植田はレギュラー再奪取へ並々ならぬ決意を表している。

「鹿島で試合に出られなければ、リオデジャネイロ五輪の代表に選ばれる可能性も低くなるので。年の初めにアジアのチャンピオンを取れたことはすごく大きなことだし、いいスタートが切れたと思っているけど、本当に大事なのはこれから。オリンピック本番はオーバーエイジもあるし、再び競争も始まると思うので、鹿島でスタメンを張ってまずはしっかりと結果を出したい」

 2014シーズンには20試合に出場して、ポジションを手中にしかけた植田の課題はメンタルにあった。日本人離れした身体能力の高さを誇る一方で、試合中に犯したミスを引きずる傾向が強かった。

 カタールにおける戦いでも、もちろんミスを犯している。たとえば後半は波状攻撃にさらされ続けた北朝鮮戦を、植田は「最終ラインをズルズルと下げてしまった」と振り返っている。

 もっとも、逆境で歯を食いしばって耐え抜き、コンビを組んだ岩波拓也(ヴィッセル神戸)とともにロングボールをはね返し続け、最後の一線だけは譲らなかったことがいわゆる成功体験になった。

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