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日本代表 10年前

「もっと俺にボールを入れろ!もっと俺を使え!」。ザックジャパンをいい意味で壊す、大久保という“新風”

久々の代表招集となった大久保嘉人。期待が高い反面、すぐにフィットできるのかという懸念材料もあった。だが、キプロス戦のパフォーマンスは周知の通り。そして、今までにない彼の発想がザックジャパンをいい意味で崩している。

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「入れてくれればディフェンスが崩れるから、とりあえず出せ」

「もっと俺にボールを入れろ!もっと俺を使え!」。ザックジャパンをいい意味で壊す、大久保という“新風”
大久保嘉人【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 アメリカ時間の29日夜(日本時間30日午前)、2014年ブラジルW杯に挑む日本代表が直前合宿地のアメリカ・タンパに到着した。27日のキプロス戦から丸2日のオフを経て、選手たちはいよいよ本番に向けた本格的な準備に入ることになる。

 キプロス戦では後半13分から出場した大久保嘉人がJリーグでの好調ぶりを示すようなキレのある動きを見せ、停滞感の強かったチームの攻撃を活性化させた。だが、本人は満足感より、消化不良感の方が強かったようだ。

「前線に怖さをもたらした? もっとできましたけどね。試合で1トップをやったのは初めてだったけど、もっとボールが入ってくれば全然楽しいのになと。ボランチのタテパスが入ってこないから。『入れてくれればディフェンスが崩れるから、とりあえず出せ』と言ったんですけどね。

 そうすれば、(香川)真司だったり、岡崎(慎司)だったり、清武(弘嗣)、(本田)圭佑ともコンビネーションが生まれるわけで。そこでボールを入れなかったら、向こうがブロック組んできれ、自分たちのよさも消えるし、ただ回してるだけになる。出せるタイミングがあるのにもったいない。もっとスピーディーな攻めが多くなるんだからね」

 4年前の南アフリカW杯を一緒に戦った長谷部誠が後半から出てきたことで、日本のタテへの意識は少なからず向上した。が、大久保にとってはまだまだ物足りなかったようだ。特に山口蛍とはこの試合が初の競演だった。

 中村憲剛と見せるような息の合ったプレーは難しいだろうが、ブラジル本番までは2週間しかない。何としても意思疎通を図る必要がある。山口自身も「嘉人さんをもっと見てあげられるようにしたい」と意欲を見せていただけに、もっともっと大久保が要求していいだろう。

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