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日本代表 7年前

「本田頼み」の印象拭えなかったブラジルW杯予選。1年弱の不在で際立った大黒柱の存在感【アジア予選激闘史】

シリーズ:ワールドカップ・アジア予選激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

かつてないほど上がっていた選手個々の国際経験値

アウェイのオーストラリア戦でゴールを決めた栗原勇蔵(16番)
アウェイのオーストラリア戦でゴールを決めた栗原勇蔵(16番)【写真:Getty Images】

 しかしながら、2012年6月から始まる最終予選直前に本田が復帰。背番号を18から4に変更して、新たな気持ちで大勝負に挑むことになった。香川も同時期にドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドへの移籍が決定。

 すでに長友がインテル、内田がシャルケでUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)ベスト8、4を経験するなど、選手個々の国際経験値は過去にないほど上がっていた。だからこそ、オーストラリア、ヨルダン、オマーン、イラクと同組の最終予選2位以内は心配ないと誰もが信じて疑わなかった。

 その予想通り、日本は2012年6月の序盤3連戦でスタートダッシュを見せた。3日の初戦・オマーン戦では本田の開始12分の先制点に始まり、ザック就任後1トップに定着していた前田遼一(FC東京)と岡崎慎司(レスター)が追加点をゲット。3-0で幸先のいい勝利を挙げる。

 続く8日のヨルダン戦も前田の先制点、本田のハットトリック、香川、そして前半終了間際に負傷交代した吉田の代役・栗原勇蔵(横浜)までもがゴール。6-0で圧勝した。直後に赴いた12日のアウェイ・オーストラリア戦(ブリスベン)では吉田の穴埋めとして先発した栗原が本田のアシストで先制ゴールを挙げるなど、非常にいいムードで戦っていた。

 が、内田がファウルを取られて献上したPKをウィルクシャー(シドニーFC)に決められ、同点に追いつかれてしまう。試合は1-1のドロー。3試合で勝ち点7というのは上々の結果だったが、内田と今野が累積警告、栗原も退場で次の試合に出られなくなるという大きなアクシデントが発生。守備のテコ入れが緊急課題となった。

 吉田がケガから復帰した同年9月11日のイラク戦(埼玉)は最終ラインにベテラン・駒野友一(福岡)と伊野波雅彦(神戸)が抜擢された。香川も負傷欠場し、清武が先発起用されるなど重要なところでメンバー入れ替えがあったものの、スタメンに抜擢された駒野が素早いスローインから得点機を作る。

 これを受けた岡崎のクロスを前田が鋭く合わせて前半25分に先制に成功。不安視された守備陣も崩れることなく相手を零封し、最終予選3勝目を挙げた。

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