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日本代表 7年前

「本田頼み」の印象拭えなかったブラジルW杯予選。1年弱の不在で際立った大黒柱の存在感【アジア予選激闘史】

シリーズ:ワールドカップ・アジア予選激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

値千金のPK弾決めた本田。絶対的エース頼みの印象は拭えず

2014年ブラジルワールドカップ予選オーストラリア戦でPKを決めた本田圭佑
2014年ブラジルワールドカップ予選オーストラリア戦でPKを決めた本田圭佑【写真:Getty Images】

 本田を含め、ベストメンバーが揃わないと勝てない…。その課題が浮き彫りになった日本が回帰するのは、やはり最強布陣だった。6月4日のオーストラリア戦(埼玉)に陣取ったのは本田、長友を含めたザックの信頼する11人。この陣容で引き分け以上の結果を狙いに行った。

 だが、日本の主力が揃っても、オーストラリアの堅守は容易に崩せるものではなく、逆に終盤ワンチャンスから1点を先制されてしまう有様だった。が、後半ロスタイム、本田が強引なドリブルから前に上がっていた栗原勇蔵に蹴り込んだクロスが相手のマッケイ(ブリスベン・ロアー)の手に当たり、値千金のPKを手に入れる。凄まじい重圧のかかる中、これを本田自身が確実に蹴り込み、日本は勝ち点1をゲット。ようやくノルマだったブラジル行きを決めることに成功した。

 こうして最終予選を振り返ると、ザックジャパン時代はやはり「本田頼み」の印象が拭えない。本田という絶対的エースがいなければ、日本は勝ち点17の首位通過を果たすことができなかっただろう。後の本大会でも本田のコートジボワール戦(レシフェ)の先制点までは希望に満ちていた。やはりこの男が2010年南ア大会以降、日本代表にもたらしたものは絶大なのだ。

 あれから4年。本田は31歳になり、新天地・パチューカでようやくデビューを飾ったところだ。が、今回の最終予選では久保裕也(ヘント)らの台頭に押されて、まだ昨年9月の初戦・UAE戦(埼玉)の1点しか奪っていない。

 その分、原口元気(ヘルタ)や大迫勇也(ケルン)ら若い世代が奮闘してはいるのだが、本田が当時の勝負強さを取り戻せば、日本はプレーオフに回らずともロシアに行けるはず。今こそ日本をけん引してきた大黒柱の復活を強く求めたい。そして岡崎、香川といった当時からの看板攻撃陣にも輝きをもう一度放ってもらいたいものだ。

▼14年ブラジルW杯アジア最終予選・日本代表の結果
・オマーン戦(ホーム):◯3-0
・ヨルダン戦(ホーム):○6-0
・オーストラリア戦(アウェイ):△1-1
・イラク戦(ホーム):○1-0
・オマーン戦(アウェイ):◯1-2
・ヨルダン戦(アウェイ):●2-1
・オーストラリア戦(ホーム):△1-1、W杯出場決定
・イラク戦(アウェイ):○0-1

(取材・文:元川悦子)

【了】

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