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16歳久保、CM出演はまだ早い。過度の期待を背負わせる不安、注目すべきはピッチ上の姿【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

久保のプレー面における最大の特徴とは

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久保建英【写真:Getty Images】

 FC東京で、試合に使ってもらっているのはいいことだよね。いいプレーもしているし、選手としてじっくり育ててもらいたい。例えば、筋肉を急につけたりと慌てちゃいけないんだ。成長とともに伸ばしていってあげないと。スピードというのは天性だからプロの世界で出せるのはわかるけど、久保の場合は技術だから。そうすると、どうしても相手の当たりにも耐えなきゃいけない。そこが足りないと思ったらガンガン筋トレをやりたくなってしまう。でも、そうじゃない。今の久保の良さを出しながら、徐々に肉体を成長させていったら、僕らは長く久保のプレーを見られるよ。

 ちょっと、いきなりガッチリしすぎたんじゃないかなと思うね。足の筋肉のつき方を見ていたら、“真面目に”やっているなって。まだ、そんなにやらなくていいんじゃないかと思う。

 ポテンシャルは間違いないし、面白い選手だよ。トラップのフィーリングも、ボールの置き所が素晴らしい。インサイドキックひとつ取っても全然違う。それと頭の良さ、状況判断の良さ。大したもんだね。

 そして決定的な違いは、他の日本人選手が2回触るところを、久保は3回触るんだよ。是非、見てみてもらいたい。トラップしてクッと切り返して、そこまでだったら日本のディフェンダーは逆を突かれたとなって対応する。でも久保は、そこからもう一回触るからその瞬間、一気に剥がされる。そこで相手との間合いを50、60cm離すんだよね。だからディフェンスは行けないんだ。

 久保は他の選手とは感覚が違う。ゆくゆくはバルセロナでプレーしてもらいたいし、将来の日本代表を背負ってくれと言いたい。だからこそ、今はまだピッチ内のパフォーマンスだけが注目される環境であってほしいと思う。

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。

【了】

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