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日本代表 6年前

ファルカオすら沈黙、昌子源の勇敢さと大胆さ。“下っ端”から新たなDFリーダーの誕生へ【ロシアW杯】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

初出場の大舞台で示した統率力

 周囲へのコーチングや声出しについても、昌子は若い世代の中では頭抜けている。12日のパラグアイ戦(インスブルック)でも彼が周囲につねに指示を出し続けてポジションを修正する姿が印象的だった。そのリーダーシップを目の当たりにして、西野監督も思い切って「昌子を使ってみよう」と決断したのかもしれない。

 今回の日本代表は35歳の川島永嗣、34歳の長谷部誠を筆頭にベテラン選手中心だが、近未来の日本代表を担う20代半ばの世代にキャプテンシーを備えた人間が出てきてほしいという待望論は以前からあった。

 この日の昌子は「声が通るかと思ったけど、通らなかった」とワールドカップ特有の騒然とした雰囲気に面食らったというが、普段から自らアクションを起こして周囲とコミュニケーションを取ってきた裏付けがあったから、吉田とともに前の選手たちを動かすことができた。

 そういう統率力をワールドカップ初参戦の男が大舞台で示してくれたことも、この先の厳しい戦いに向けての収穫と言えるだろう。

 ただ、守備陣にとっては開始早々にカルロス・サンチェスが退場になり、数的優位で90分の大半を乗り切れたという追い風があったことを忘れてはいけない。吉田も「正直、もっとコロンビアはもっと来ると思っていたし、もっと危ないシーンを沢山作られるんじゃないかという準備はしていた」と率直な思いを打ち明ける。

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