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Jリーグ 2年前

浦和レッズの中盤はなぜ崩されなかった? 川崎フロンターレを完封、岩尾憲と指揮官が考えていたこととは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

岩尾憲が意識した中盤のバランス


「川崎さんはボールを保持するのが非常に得意なチーム。どこを通されればOKかというイメージが整理されていた中で、3人のバランスが崩れないように意識していました。ボールを保持するうえでは伊藤選手もボランチができますので、僕がセンターバック(CB)のサポートに入ったタイミングで、いい形で自分が使っていたスペースを彼に使ってもらうアイディアも持ちつつ距離感を大事にしていました」

 川崎の大島僚太、脇坂泰斗、ジョアン・シミッチの中盤3枚を確実に消しに行く戦術を彼が中心となって遂行したのだ。

 浦和にとって大きなプラスとなったのが、前半7分の先制弾。酒井宏樹がこぼれ球を拾い、右サイドの深い位置から折り返したところに江坂任が飛び込んだ。絶妙なゴールが早い時間帯に生まれ、チーム全体が勢いづく。その後は川崎にボールを支配され、自陣にブロックを敷いて守る展開が長く続いたが、チーム全体が焦らずに対処できていた。

 中盤に関しても、岩尾は主に大島と駆け引きしながら決定的な仕事をさせない間合いでキッチリと対峙し続けた。柴戸も走行距離トップを記録。脇坂らに対して迫力ある球際と寄せで食らいつき、水を得た魚のように躍動していた。昨季限りで引退した阿部勇樹から背番号22を引き継いだことでひと際、気合が入っていたのだろうが、これまで以上の鋭さを見せたのは確か。それも新相棒の的確なサポートがあってこそだった。

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