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Jリーグ 2年前

浦和レッズの中盤はなぜ崩されなかった? 川崎フロンターレを完封、岩尾憲と指揮官が考えていたこととは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「トライしていく必要がある」こととは?


「展開的にはボールをより握りたかったし、そこにチャレンジしていきたかったが、相手にかなり深くまで進入されてしまった。押し込まれたところで我々は苦戦した。そういったところは改善点として挙げられます」

 確かに、ボール支配率が61%対39%、パス本数が786本対392本、同成功率が85%対73%という数字を見れば、リカルド監督が不本意なのも頷ける。勝つには勝ったが、こうした内容面をブラッシュアップしていかなければ、今季の大命題である「J1制覇」を本当に実現できる保証はない。

 それを誰よりも痛感しているのが、指揮官と強い絆で結ばれている岩尾自身ではないか。

「この段階でここまでできているのはポジティブだと思います。ただ、後半のところで少し相手がボールを奪いに来たタイミングで、ゴールキックもそうですけど、蹴る機会が多くなってしまった。自分たちが握るというところからは少し離れてしまったので、少しリスクはありますけど、トライしていく必要があるのかなと思っています」

 彼がこう語気を強めた通り、いかにして支配率を高め、自分たちからアクションを起こすスタイルを構築していくのかは、浦和にとっての大きなテーマだ。

 それを具現化していくうえで、中盤を司る岩尾の一挙手一投足は極めて重要だ。今回の川崎戦で王者相手に堂々たる仕事ぶりを見せた彼だが、それを継続し、さらに質を上げることが求められてくる。今回欠場した小泉佳穂やキャスパー・ユンカーらとの連係を含め、詰めるべき点は少なくない。

 徳島時代以上のタレント集団の中、新たなリカルドスタイルを築きつつある今の浦和で、岩尾憲はもう一回り二回り飛躍できるのか。今回のスーパーカップで抱かせた大いなる期待をしっかりと形にして、最終的に大輪の花を咲かせてほしいものである。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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