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Jリーグ 2年前

浦和レッズ、ゴール量産のポイントとは? 「責任を感じていた」江坂任、待望の初勝利をもたらした「嫌なところを突く攻撃」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

リカルド監督のマネジメント



「スペースの共有を4人でできた素晴らしい崩しだった。シュートはボールスピードがあったんで、ふかさないように枠に飛ばすことを意識していた。ちょっとコースが甘かったですけど『入ってくれ』と願っていました」

 背番号33の一撃が決まり、浦和は待望の先制点を奪う。キャスパー・ユンカーがケガで万全でない中、取るべきエースが挙げたゴールは確実にチームを勢いづけた。

 その後も浦和がゲームを支配。湘南が時折、最終ラインからのビルドアップでチャンスを作ろうとしても、しっかりとした守りで跳ね返し、隙を与えない。前半途中に平野にアクシデントがあり、伊藤敦樹が早々と出場することになったものの、混乱は生じなかった。

 2週間で5試合という超過密日程のため、後半に入って川崎戦のようにペースダウンする懸念もあったが、リカルド監督もマネジメントに工夫を凝らす。後半15分にいち早く3枚替えに踏み切り、馬渡和彰を左SBではなく1列前の左MFに配置。明本を左SBに置くという起用は斬新に見えた。

「バランスを考えた。明本は攻撃でもディフェンスの堅さでも非常に重要な役割をこなしてくれる。馬渡は縦のスピードがあり、チャンスを作れるので、彼がよりゴール近くにいるという狙いを持って投入した」と指揮官は説明する。左サイドが活性化したことで、江坂と小泉佳穂の前線コンビも動きやすくなったはず。運動量も落ちなかった。

 1-0のまま進んだ後半38分、リカルド監督は献身的な守備で貢献していた江坂を下げ、犬飼智也を投入。最終ラインを5バックにして守り固めに入った。神戸戦では守り切れなかった彼らだが、この日はガッチリとゴールを死守。さらに直後のカウンターから馬渡がダメ押しとなる2点目をゲット。逃げ切りに成功し、浦和はようやく今季J1初勝利を手にしたのである。

「我々が今、立たされている難しい状況の中で、勝ち点3は非常に価値のある結果。その部分については満足しています」

 指揮官が吐露した安堵感はチーム全体に共通するものだろう。とりわけ、スーパーカップの2発から無得点が続いていた江坂にとっては大きな決勝点と白星だったに違いない。背番号33は神妙な面持ちでこうコメントしていた。

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