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Jリーグ 2年前

川崎フロンターレ、ACL敗退の影響は? 別格の存在だった“王朝”を倒す者は現れるか【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

ACLで負った傷



 しかもフロンターレは、大陸の戦いでまたしても味わわされた試練の傷が癒えきっていない。今回もJリーグでの圧倒ぶりをアジアで再現することはできず、6試合で3勝しか挙げられずにグループステージ敗退に終わった。今年の大会に出場していたJリーグ勢では、8月のベスト16に進むことができない唯一のチームとなってしまった。

 ACLで再び見せた失態は、もちろん痛みを伴っただろう。いくら国内で圧倒しようとも、現世代が本当の意味で王朝を築き上げ、アジアの強豪としてもう一段上のレベルに到達するためには、国際舞台での栄冠が必要となる。それはクラブに関わる全員が分かっているはずだ。

 そういった背景の中で土曜日に行われた清水エスパルスとのアウェイゲームは、つまずいてもおかしくはない一戦のように感じられた。川崎は落胆を払拭してもう一度調子を取り戻す必要があったが、平岡宏章監督率いる清水は5戦負けなしで勝ち点を重ねており、前節は湘南ベルマーレとのアウェイゲームに4-1の快勝を収めて自信に溢れていた。

 だがそんな予想も机上の話でしかなかった。実際には、川崎はJリーグでの余裕すら感じせる戦いぶりをすぐに取り戻し、開始から15分も経たないうちにリードを奪う。脇坂泰斗と家長昭博による彼ららしい巧緻なチャンスメイクから、最後は前者が権田修一の守るゴールのニアポスト際を撃ち抜いた。

 続いて30分を過ぎたところで今度は脇坂がアシスト役に回り、ファーサイドへ浮かせた絶妙なボールをマルシーニョが頭で押し込む。まだ60分を残した段階ですでに楽な展開となり、ある程度力を温存しつつ貴重な勝ち点3を加えることができた。前半にはボールを69%支配し、パス数はホームチームの約2倍(378本対194%)、成功率は89%を記録していた。

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