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Jリーグ 1年前

「納得いかない」浦和レッズでの今季ラストゲーム。酒井宏樹がACL制覇にこだわる理由【コラム】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

手術を経験した2022。「後悔は全くありません」


【写真:Getty Images】

「黙祷は何回も捧げてきましたけど、これだけ近い人のことを思って黙祷するのは初めてだったので。難しいですね。気合を入れていたけど、なかなか結果とリンクしない。甘くはないですね」

 開幕前から準備を積めた今シーズンの酒井はリーグ戦で出場20試合、プレー時間は1534分にとどまった。5月に右足第5中足骨の手術を受けて長期離脱を強いられた酒井は、9月上旬にも右ふくらはぎの肉離れで戦列を離れるとクラブ側から発表されている。

 実はいずれの負傷にも、浦和に加入してから酒井が抱いてきた覚悟と決意が反映されていた。右足第5中足骨を痛めたのは3月。日本代表が7大会連続7度目のワールドカップ出場を決めた同月のオーストラリア代表戦、そしてベトナム代表戦への招集を辞退する原因となった。

 それでも当初は手術ではなく保存療法を選択した理由は、浦和が出場を決めていたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にあった。手術を受けた直後に自身のインスタグラム(@hiroki.sakai_19)を更新した酒井は、急きょ手術を受けた理由をこう綴っている。

「手術まで長引いてしまいましたが、ACLが僕の移籍した時の目標だったので後悔は全くありませんし、それを汲んでプレーさせてくれていたチームにとても感謝しています」(原文ママ)

 手術を受けていたら、タイ・ブリーラムで4月中旬から開催されたACLグループリーグには出場できなかった。グループFの最大のライバル、大邱FC(韓国)との2試合を終えるまで右サイドバックでプレーし、突破をほぼ確実な状況にした上で手術に踏み切った。

 そもそも、酒井はなぜACLにこだわったのか。8月に日本でセントラル開催されたACL東地区のノックアウトステージの間に、酒井はちょっと気になる言葉を残していた。

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