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挫折と苦悩。槙野智章がそれでも貫いた野心。お祭り男が目指した選手像とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

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 ヴィッセル神戸に所属する槙野智章が現役引退を発表し、26日に会見を行った。持ち前の明るいキャラクターで話題を提供し、サッカー日本代表としてワールドカップにも出場した「お祭り男」は、現役最後の会見で何を語ったのか。唯一無二のキャラクターを持つ男は、プロ生活17年間で日本サッカーに多くのものをもたらした。(取材・文:元川悦子)


17年間の現役生活に終止符を打った槙野智章


【写真:元川悦子】

「普通に引退会見をしたいとは思わなかった。自分にしかできない表現方法でやりたい。『これで終わりじゃないよ』『ここからが始まりだよ』と分かっていただきたくて、この場にのぞみました」

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 12月26日昼、ノエビア神戸スタジアム。17年間の現役生活にピリオドを打つ決断をした元日本代表DF槙野智章が現役選手として最後の会見に挑んだ。

「槙野劇場第二章開幕宣言」と題し、自らパワーポイントで資料を作ってプレゼンする形式は異例中の異例。終盤に妻で女優の高梨臨さんが登場するサプライズもあり、それには本人も「何でいるの?」と驚きを隠せなかったが、あらゆる意味で密度の濃い1時間半だった。オリジナリティにこだわる槙野らしい区切りの1日となったのは確かだ。

「楽しい会見にしましょう」

 実を言うと、筆者は彼からこんなメッセージを前日に受け取っていた。2021年11月に10年間過ごした浦和レッズから契約満了を告げられた時には我々報道陣の前で号泣した槙野だったが、現役キャリアに終止符打つことを決めた今回はとにかく明るく前向きだった。

 それだけ新たなる旅立ちをポジティブに捉えているということ。すでに11月5日のJ1最終節、横浜F・マリノス戦後にチームメートに引退を伝え、直後からカタールでワールドカップ(W杯)報道に携わるなど、決断を下してから一定の時間が経過していたことも、キッパリした表情で会見にのぞめた大きな要因だったのかもしれない。

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