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Jリーグ 1年前

挫折と苦悩。槙野智章がそれでも貫いた野心。お祭り男が目指した選手像とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「槙野劇場第二章」に期待するもの

「(ポーランド戦は)小さい頃から夢見たW杯の試合。自分の中で準備したものを出せずに負けた。結果に対してもいろんな声があった。物凄く大きな敗戦だったし、挫折した記憶があります」と槙野自身も苦渋の表情を浮かべたが、こうした悔しさも含めて得難い経験だったのは確かだ。

 本田圭佑、長友佑都、内田、香川ら意識の高い同世代の仲間と共闘した日々は刺激的で、槙野を大きく成長させることになった。「みんなで日本を世界一にしたい」と本気で考えて取り組んだからこそ、彼らはサッカーの認知度を引き上げ、個人的な知名度も高めた。その貢献度はやはり高く評価されるべきだ。

 今後は監督を目指して取り組んでいくというが、2023年はメディア露出も多くなりそうだ。戸田和幸、松原良香といった人気解説者が現場に赴いたこともあり、喋れて盛り上げられて勉強熱心な槙野のニーズはより一層高まるだろう。そこで彼はサッカーファンだけでなく、一般人も巻き込む斬新なアクションを起こしてくれるに違いない。

「カタールW杯のグループリーグを日本の7526万人が見たという。この数字は1億2000万人と言われる日本国民の半数以上。そういう人たちが次はJリーグに夢中になっている姿を僕は見たいし、そういう文化を作りたい」と熱っぽく語った槙野には、多くの人々を引きつけるような幅広い活躍ができるはずだ。

 彼のプレーをピッチで見られなくなるのは本当に残念だが、第2の人生の方が長い。そこで光り輝く槙野の姿を楽しみに待ちたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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