チームで共有された横浜F・マリノス対策
「マリノスさんが長いボールを蹴ってくれた方が、われわれとしてはありがたいところでした」
黒田監督の言葉が過去形になっているのは、マリノスがキーパーや最終ラインからロングボールを蹴ってこなかったからだ。しかし、決して誤算ではない。むしろ短いパスを駆使したマリノスのビルドアップが、システムを[4-4-2]から[3-4-2-1]に変えた町田の餌食になった。
開始わずか5分に先制ゴールを決めて、町田に自信と勢いを与えた乗せたオーストラリア代表FWミッチェル・デュークが、チーム全員で共有していた戦い方を明かしてくれた。
「特に最初の10分はしっかり前からプレスにいこう、と。それが完璧にはまって相手ボールを奪い、さらに幸運にも自分の前にぼれてきて、それを確実にゴールへ流し込めたんだ」
ゴールキックで試合を再開させたマリノスのビルドアップを、前線からの連動したプレスで追い込んでいく。そして、ゴール前にいたマリノスのキャプテン、喜田拓也へボールが入った瞬間に町田のボランチ宇野禅斗が激しくチェック。こぼれ球がデュークの前へ転がっていった。
従来の[4-4-2]ではプレスの“一の矢”を2トップが担っていた。これが[3-4-2-1]だと1トップのデューク、シャドーの高橋大悟と荒木駿太の3人となり、マリノスのビルドアップの起点となるキーパー、ゴール前で左右に開くセンターバックと同数になる。黒田監督が言う。