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Jリーグ 10か月前

横浜F・マリノスがはまった「アリ地獄のような罠」。町田ゼルビアが講じた周到な策とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

チームで共有された横浜F・マリノス対策



「マリノスさんが長いボールを蹴ってくれた方が、われわれとしてはありがたいところでした」

 黒田監督の言葉が過去形になっているのは、マリノスがキーパーや最終ラインからロングボールを蹴ってこなかったからだ。しかし、決して誤算ではない。むしろ短いパスを駆使したマリノスのビルドアップが、システムを[4-4-2]から[3-4-2-1]に変えた町田の餌食になった。

 開始わずか5分に先制ゴールを決めて、町田に自信と勢いを与えた乗せたオーストラリア代表FWミッチェル・デュークが、チーム全員で共有していた戦い方を明かしてくれた。

「特に最初の10分はしっかり前からプレスにいこう、と。それが完璧にはまって相手ボールを奪い、さらに幸運にも自分の前にぼれてきて、それを確実にゴールへ流し込めたんだ」

 ゴールキックで試合を再開させたマリノスのビルドアップを、前線からの連動したプレスで追い込んでいく。そして、ゴール前にいたマリノスのキャプテン、喜田拓也へボールが入った瞬間に町田のボランチ宇野禅斗が激しくチェック。こぼれ球がデュークの前へ転がっていった。

 従来の[4-4-2]ではプレスの“一の矢”を2トップが担っていた。これが[3-4-2-1]だと1トップのデューク、シャドーの高橋大悟と荒木駿太の3人となり、マリノスのビルドアップの起点となるキーパー、ゴール前で左右に開くセンターバックと同数になる。黒田監督が言う。

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