「思い描いていたようなプロサッカー人生を送って来られなかった。それでも…」
「だからこそ、すごく楽しみですね。レベルや基礎技術が高い選手が本当に多いので、初めてでも何の違和感もなくやれる。自分の特徴ややりたいプレーを早くチームに落とし込んで、選手たちとコミュニケーションを取って、ピッチ内でいいサッカーを、いいプレーを見せたい。ピッチ上でボールを触っていくなかで、いろいろと感じられるところがあるので、どんどんイメージを共有していきたい」
タイ戦前日の大晦日に試合会場の国立競技場で行われた公式会見で、森保監督はこれまで代表歴のない数人の選手を先発させると示唆した。そのなかには伊藤も含まれているだろう。ポジションはトップ下。試合後には12日からカタールで開催される、AFCアジアカップに臨む代表メンバーが発表される。
「もちろんアジアカップ代表にも選ばれたい。その意味で、タイ戦はアピールするチャンスになる」
タイ戦とその先に待つ、日本が3大会ぶり5度目の優勝を狙うアジアカップへ抱く思いを明かした伊藤は、同時に今回の活動だけで終わるのではなく、未来への始まりになると前を見すえた。
「正直、アジアカップがすべてじゃない。ワールドカップを含めたその先の代表活動であるとか、自分のチームでの活躍といったところにつながっていくようなプレーをしたい」
その瞬間、瞬間に抱く思いを正直に、かつ臆さずに言葉に変換する姿は10代の頃から変わらない。強気な性格が色濃く反映された自身の過去・現在・未来を、伊藤はこんな言葉で表現した。
「ここに来るまで長かったというか、僕自身、思い描いていたようなプロサッカー人生を送って来られなかった。それでも絶対にあきらめず、自分のプレーを貫き通した結果としていまがある。その意味でも、これからも自分を信じて、もっともっと頑張っていきたい」
浦和との決別を介して、プロサッカー人生を好転させてから2年あまり。J2からJ1、さらにヨーロッパへ一気に駆け上がった遅咲きのファンタジスタは、挑戦していく舞台に森保ジャパンが加わる未来を思い描きながら、託された背番号「7」とともに元日の聖地に鳴り響くキックオフの笛を待つ。
(取材・文:藤江直人)
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